︎♥︎ 4 ページ4
生きてきた中で、1対1で話した男性は
佐久間と父だけ。
だから何を話せばいいのか分からなくて
置かれたミルクティーで乾いた喉を潤した。
『女性に歳を聞くのは失礼だとは承知ですが、
Aさんは確か18歳…ですよね？』
｢そうです。結婚相手がこんな小娘なんて嫌ですよね、
私自身婚約相手が居ることをさっき知って…｣
『いえいえ！そうではなく…その…とても大人っぽくて
綺麗なので…もっと知れたらいいなって思いました』
可愛らしい笑顔で笑う人だ。
佐久間以外に私の容姿を褒めてくれたのは初めて。
可愛くしなさい、女らしく居なさい、
ピンクや白を纏い、ふわふわやレースで包まれるような。
そんなのいつか着れなくなるのに。
｢…もっと可愛らしい女じゃなくていいんですか？｣
『僕はAさんのような格好が好きですよ。
髪もすごく綺麗で、触れたくなります』
｢ふ、触れ…｣
『あっ、ごめんなさい。変な意味ではないんです』
割と楽しかった。
結婚なんて考えられないけれど
良い人なんだろうな、とは思った。
小説に出てくるような、女を痛ぶって楽しむタイプでも
色んな女と関係を持つようなタイプにも見えない。
もちろんまだ分からないけど。
『これ、僕の連絡先です。良かったら追加してください、
今度は2人でどこか行ったりしたいですね』
美味しいお茶、ありがとうございましたとメイドにまで丁寧に。
阿部さんが帰ったらぶつけてやろうと思っていた
両親への言葉は半分以上消えていた。
だが、それでも聞きたいことはある。
｢なんで、いきなり結婚なんて言い出したの。
阿部さんはどこの人。どういう経緯で私の相手になったの｣
自分で言うのもなんだが、うちはかなりの大手である。
先々代が事業拡大に成功して業績はうなぎ登り。
これ以上欲をかく必要は無いはずだ。
｢ 何があるか分からない未来のため、阿部商事と組むことにした ｣
阿部商事。
グローバルな貿易を得意とする、こちらも大手。
うちは商品を売る立場のため懇意にしていたのだろう。
国内だけでは不安だから、外国にパイプを持つ阿部商事と…
｢会社の都合で結婚させられるのに、
私に何の説明もないのはおかしいと思わないの？｣
｢ 亮平くんは良い人だ。きっとお前を支えてくれる ｣
そういうことじゃないってのに。
父は話が通じない。
消えたイライラはぶり返し、乱暴に音を立てて部屋へ戻った。
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カジャ(プロフ) - なべさん» 大変嬉しいコメントありがとうございます。もう少しお付き合いください。 (3月13日 18時) (
レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
なべ(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。 前作の縁‐YUAN‐から読ませていただいてます。 とても素敵なお話だな、と思いながら…今後も更新楽しみにしています。 (3月13日 3時) (レス) @page26 id: d14fd2bd0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カジャ
| 作成日時：2024年3月2日 18時
