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長い間顔色を変えず運転していた佐久間が
欠伸を噛み殺した。
｢次のSA、入ったら？｣
『うん…』
｢トイレ行きたいし｣
寝ずに運転して事故ったらシャレにならない。
それほど感じていない尿意を理由に、見えたSAに入らせる。
レバーをパーキングに入れたら
ふぅっと大きなため息を吐いた佐久間。
顔色は変わらなくとも緊張状態だったのだろう。
肩が緩まった気がした。
｢後ろ倒してちょっと寝なよ｣
『……その間に、』
｢事故ったらどうするの？私のそばにいれないよ｣
『…やだ。寝る。でも一緒がいい』
後部座席に移動した佐久間に優しく腕を引っ張られる。
目がとろんとしている彼の表情が、妖艶で。
シートがゆっくり倒された。
寝転ぶ佐久間が腕を広げる。
私もきっと、怖かった。
だから吸い寄せられるようにその腕に近づいた。
佐久間の香りに包まれて
見えるのは佐久間の胸板で
優しく抱きしめられる腕と
優しく頭を撫でてくれる手にすごく安心した。
『だいすき、ずっとおれといて…』
見上げればもう目を閉じていた。
疲れたよね。
怖かったよね。
はっきり言って無茶な計画だ。
父の会社も阿部商事も相当に顔が広い。
警察関係者で懇意にしてる人も大勢いる。
(( 世界中が敵になっても、俺はAと添い遂げます ))
世界中が敵。
大袈裟に思えて実はそうでも無いかもしれない。
だけど、それでも私を奪いたいと思った
その愛の強さが嬉しかった。
どうしようもない壁をぶち壊した佐久間に
守られたいと思った。
待ち構える先に平穏の文字は無い。
もちろん敷かれたレールも地図もない。
生きている。
私は、自分の人生を生きてる。
規則正しく上下する胸に1度だけ唇を落として
引き締まった体に腕を回した。
｢…ありがとう｣
月が浮かぶ夜。
彼色のドレスを着たまま、眠りについた。
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カジャ(プロフ) - なべさん» 大変嬉しいコメントありがとうございます。もう少しお付き合いください。 (3月13日 18時) (
レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
なべ(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。 前作の縁‐YUAN‐から読ませていただいてます。 とても素敵なお話だな、と思いながら…今後も更新楽しみにしています。 (3月13日 3時) (レス) @page26 id: d14fd2bd0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カジャ
| 作成日時：2024年3月2日 18時
