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どれほど走っただろう。
夜は更けて、星だけが空を彩る。
どこに向かっているのか知らないが
高速に乗ったということはきっと遠くまで行くんだ。
そんじょそこらじゃ、すぐ見つかってしまうから。
さっきから携帯の振動は止まないし
着信もメッセージも死ぬほど大量に来ている。
佐久間がたまに知らせてくれる向こうの状況が
どれほど悲惨で騒々しいものか、光景が浮かぶようだった。
佐久間の携帯が鳴る。
トラックしかいない高速を運転する彼が
あろうことか画面をタップして、通話に応じた。
それも、スピーカーで。
｢なにして、｣
『シーっ…』
( ｢佐久間ぁ！！お前自分が何をやってるか分かってんのか！！？
お前のせいで結婚の話は無くなる寸前だ！！
今すぐ戻れ！！誰のおかげでもう一度やり直し、｣ )
鼓膜が敗れそうな父親の怒号。
その後ろにいる多くの人数の声も。
『まだ無くなっていないんですか？一体どんな引き止め方を？』
初めて聞く声色だった。
怖いと感じるほどに冷淡な、血の通わない声。
隣を見れば、ひどく冷めた顔をしていた。
呆れとも、軽蔑とも、無心ともとれるような。
( ｢何を言ってる…？早く戻れと言っているんだ！！
今どこにいる！戻らないのなら警察に連絡を入れて
お前たちをどこまでも｣ )
『構いません。どうぞお好きに。
世界中が敵になっても、俺はAと添い遂げます』
( ｢いつからお前は娘を呼び捨てにする立場になったんだ！
話にならん！！Aを出せ、一緒にいるんだろう！？｣ )
『わかってるんですよ。そうやって話を伸ばして
GPSで俺たちのところに来ようとしてるんでしょ？
…無駄ですよ。Aも自分の意思でここに居るんだから』
佐久間はその言葉を最後に、通話を繋げたまま窓から携帯を落とした。
私の携帯も出してと手のひらを私に差し出す。
その通り震えっぱなしの携帯を彼に預けたら
何の躊躇もなく窓の外に腕を伸ばした。
つまり、佐久間の携帯と私の携帯は
高速道路を走り抜ける大きなトラックたちに踏まれておじゃん。
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カジャ(プロフ) - なべさん» 大変嬉しいコメントありがとうございます。もう少しお付き合いください。 (3月13日 18時) (
レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
なべ(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。 前作の縁‐YUAN‐から読ませていただいてます。 とても素敵なお話だな、と思いながら…今後も更新楽しみにしています。 (3月13日 3時) (レス) @page26 id: d14fd2bd0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カジャ
| 作成日時：2024年3月2日 18時
