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うぅ、うぅぅ…
何で隣のこの人は何でもない顔して
挨拶回ってるの…
私は自分の名前と会釈で精一杯。
親も来るし、その時だけは絶対やめてほしい…
｢阿部さん、お願いです離れてくださ｣
『やだ。悪い虫ついたらやだもん』
途中から数えるのがめんどくさくなるぐらい多くの人に
挨拶をしてその度にグラスを傾けた。
人酔いも相まって、少し外に出たいと言ったら
優しい顔でバルコニーまで連れてきてくれた。
密着した腰は離れないまま。
｢阿部さん、｣
『俺の下の名前知ってるでしょ？』
阿部さんもちょっと酔ってる気がする。
｢知ってます｣
『呼んで？俺たち夫婦なんだよ。
Aちゃんも阿部になるんだから』
｢…亮平さん｣
『んー…それじゃ微妙』
絶対酔ってるよ。
首をコテンと倒してこっちを見つめる阿部さん…
じゃなくて亮平さん。
いつもより可愛さが増している。
ほっぺもほんのり赤い。
お酒、弱いんだな。
｢ あ、居た。こんばんは。Aちゃん ｣
亮平さんの後ろから聞き覚えのある声がした。
低くて落ち着く、あの声だった。
そして、ここにいるはずの無い人。
｢…目黒くん、何でいるの｣
『目黒？』
｢ 父がお世話になっております、阿部さん。
息子の目黒蓮です。Aちゃんの同級生でもあります ｣
お招きいただきありがとうございますって
綺麗にお辞儀する目黒くんは
この世界に相応しい格好で、振る舞いで。
まさか現役高校生なんて思わない。
けど、ここにいるということは…
私と亮平さんのことを知っているということ。
｢ ごめんねAちゃん。俺知ってた。
知ってて、言いたかっただけ ｣
レールは変えられない。
それは目黒くんも同じ。
なのに、動かそうとしたの？
つくづく分からない。
当たって砕けろなんて、結果が分かってて何で。
『ふーん…好きなの？』
｢ はい。告白しました ｣
『ごめんね。俺の婚約者だから』
｢ 分かってます。一人で抱えとくのが嫌だっただけなんで。
結婚おめでとうございます、2人ともお幸せに ｣
爽やかな笑顔を浮かべて去っていった。
彼と私は違いすぎる。
ただ知ってほしい。
その先に何も望まない。
そんなこと、私はできない。
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カジャ(プロフ) - なべさん» 大変嬉しいコメントありがとうございます。もう少しお付き合いください。 (3月13日 18時) (
レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
なべ(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。 前作の縁‐YUAN‐から読ませていただいてます。 とても素敵なお話だな、と思いながら…今後も更新楽しみにしています。 (3月13日 3時) (レス) @page26 id: d14fd2bd0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カジャ
| 作成日時：2024年3月2日 18時
