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午前中最後の授業が終わるチャイム。
購買へ走る生徒と共に教室を出て
下駄箱へ。
校門前には朝と同様に車が止まっている。
『おかえりなさいませ。佐久間特製サンドイッチです。
ヘアメイクをされる前にどうぞ』
助手席で渡された色鮮やかなサンドイッチ。
ハムレタスと、たまご。
佐久間の料理ってあんまり食べたことなかったな。
サンドイッチが料理と言えるかは分からないが。
『ヘアメイクをして、ドレスを着て準備が出来ましたら
阿部さんがお迎えに来られるそうです』
｢…そう。佐久間が送ってくれるんじゃないんだ｣
『俺もそのように言いましたが、どうしても先に
お嬢様の姿を見たいということでしたので』
淡々と、抑揚のない発音。
ロボットみたいで。
美容院に到着するまでに交わした会話はそれだけ。
着いても一緒には入らず車で待ってると言って降りなかった。
そんな態度に少しの苛立たしさと悲しさを覚えながら
案内された席に座って、されるがままに顔と髪を預けた。
用意されたアイシャドウの色を見て
私が私を好きになれるメイクではないと目を瞑る。
時折開けては進捗状況を確認し
終わりましたと言われれば流れるようにシャンプー台へ。
メイク担当からヘア担当へ人が変わり、
なんやかんや話しかけてくるけど
全てに気持ちのこもらない返事をした。
佐久間の態度が気になって仕方なかった。
あれでは逆戻りだ。
一緒に居られるのはきっと、もう残り少ないのに。
こういう時に限って
出会った頃のことなんかを思い出す。
今のように、暗雲が途切れない私の心に
無理やり入り込んできた唯一の人。
生きてきて初めて、自分の全てを晒すことを許した。
太陽の光を、注いでくれた。
｢ 終わりましたー！どうっすか？めっちゃ可愛く仕上がりました！ ｣
目を開ければ、別人だった。
巻かれた髪はふわふわで
顔周りの毛も踊っている。
｢ありがとう。じゃあ｣
ふわふわ、キラキラ、まるで可愛い女の子みたい。
1番最初にその姿を見せた佐久間は、
首から上だけドレスアップした私を見ても何も言わなかった。
そのことが、ほんの少し胸を温かくさせた。
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カジャ(プロフ) - なべさん» 大変嬉しいコメントありがとうございます。もう少しお付き合いください。 (3月13日 18時) (
レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
なべ(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。 前作の縁‐YUAN‐から読ませていただいてます。 とても素敵なお話だな、と思いながら…今後も更新楽しみにしています。 (3月13日 3時) (レス) @page26 id: d14fd2bd0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カジャ
| 作成日時：2024年3月2日 18時
