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佐久間によるヘアセットも終わり。
いつもの褒め殺しも受けて
ご飯を食べて、来客を待つばかりとなった。
13時少し前にようやく外に出ていた父と母は帰ってきたけれど
来客があるのを伝え忘れたことなどさほど気に止めていないようで。
佐久間が居なけりゃ寝巻きにすっぴんボサボサで迎える
とこだったんだけどな、と少し腹が立つ。
時刻通りにぴったり鳴ったインターホンに
まずはメイドが出る。
「 はい 」
『こんにちは。本日13時より
お約束させていただいている阿部と申します』
若い声だった。
勝手に爽やかな男性を想像する。
「 伺っております。どうぞ 」
「A。あなたの婚約相手よ、迎えなさい」
「……はっ?」
何を言っているのだ。
今どきそんなもの、ありはしない。
そもそもまだ18の私は結婚などしたくない。
顔も名前も知らない人との結婚なんて尚更。
顔が歪むのを堪えて、入ってきた男性と
その後ろに控える従者に一礼する。
男性は声の通り爽やかで優しげな顔をしていた。
黒髪がサラサラと揺れる、いかにも好青年の風貌。
『初めまして、阿部亮平です。失礼致します』
強ばった笑顔をどうにか浮かべたまま
じりじりと佐久間に寄る。
「…どういうこと。なに、婚約って」
『俺もどういうことかさっぱり…
ただ客人としか聞いておりませんでした』
直接伝えても私が嫌がることが目に見えていた結果か。
自分たちの都合を押しつける両親らしいやり方。
佐久間は私の味方をすると踏み、言わなかったのだろう。
阿部さんを奥に通した両親は目だけでこっちに座れと指図する。
…客人が帰ったら覚えとけよばーか。
佐久間を連れて、母と共に阿部さんに向かい合う形で
ソファーへ座る。
「 本日はわざわざご足労頂きありがとうございます。
うちの娘のAでございます 」
「…Aと申します。よろしくお願いします 」
とりあえず、最低限形だけ。
そう思い挨拶を済ませた。
『お綺麗な方で緊張しますね笑
僕なんかには勿体ないかもしれません』
「 あら、気に入っていただけました?
もっと女の子らしくとは常々言っているんですけれど、
亮平さんの好みにそぐえているのなら良かったですわ 」
では、私たちは退席しますとさっさと2人は退散。
ついでに佐久間も母に引っ張られ、退散。
いや気まずい。
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カジャ(プロフ) - なべさん» 大変嬉しいコメントありがとうございます。もう少しお付き合いください。 (3月13日 18時) (レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
なべ(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。 前作の縁‐YUAN‐から読ませていただいてます。 とても素敵なお話だな、と思いながら…今後も更新楽しみにしています。 (3月13日 3時) (レス) @page26 id: d14fd2bd0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カジャ | 作成日時:2024年3月2日 18時