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返事をする前に出てきたのは
｢何で？｣
疑問だった。
関わっていないのに
クラスも1度も一緒になっていないのに
どうやって好きになれたのだろう。
｢ なんでって…分かんないけど、好きになってた ｣
｢私の何を好いてくれたの？｣
｢ んー…色々あるけど…笑顔かな ｣
私、学校であまり笑った記憶は無い。
先生と話していても友達と話していても
笑う要素は見当たらず、上辺だけで笑ってた。
その上辺の笑顔を好いてくれたのかな。
だとしたら、それは虚像だ。
｢ Aちゃん、執事さんが居るでしょ？
いつも送迎してもらってるピンクの髪の人 ｣
｢ テスト期間で早く帰れる日、たまたま見たの。
Aちゃんがめっちゃ可愛い笑顔で執事さんと話してるとこ ｣
佐久間と話している時、か。
それならきっと本当の顔。
｢ あの笑顔もっかい見たいなって思ってたら
執事さんが羨ましくなって、それで、好きなんだなって ｣
目を見て話してくれる彼の耳は赤かった。
真っ直ぐにぶつけられる好意は初めてで
どう対応したらいいのか分からなかったけれど
答えだけは決まっていた。
好きだと言ってくれている人に
謝らなければいけないのって、苦しいんだ。
｢…ありがとう。でも、お付き合いは出来ないです。
私もう婚約者が決まってるの｣
微笑んだまま目黒くんは少しだけ眉を下げた。
ゆっくり目を閉じて、噛みしめるみたいにうんと頷く。
もし私が普通の女だったら
純粋に喜んでお付き合いできたかな。
でも普通の女だったらきっと
目黒くんには見つけてもらえていなかった。
｢ その人は、Aちゃんのこと大切にしてくれる？ ｣
｢……うん。良い人だよ｣
｢ なら俺は入れないね、笑 分かった。ありがとう ｣
もう少しだけここに居る、という目黒くんを残して
私は先に視聴覚室を出た。
目黒くんのおかげで、その人のことをよく知らなくても
人は人を好きになれるってことがわかった。
素敵な人に好かれた自分を誇らしく思う。
今度こそ靴を履き替えれば
校門ではまだあの子達が佐久間の車の前に群がっていた。
遠目からでも分かる。
佐久間のあの笑顔は、作り笑い。
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カジャ(プロフ) - なべさん» 大変嬉しいコメントありがとうございます。もう少しお付き合いください。 (3月13日 18時) (
レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
なべ(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。 前作の縁‐YUAN‐から読ませていただいてます。 とても素敵なお話だな、と思いながら…今後も更新楽しみにしています。 (3月13日 3時) (レス) @page26 id: d14fd2bd0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カジャ
| 作成日時：2024年3月2日 18時
