︎♥︎ 2 ページ2
黒のジャケットに黒のワイドパンツ。
シルバーのアクセサリーをつけて
グレーのカラコン。
メイクもスモーキーで仕上げて、髪はやると言った
佐久間を呼ぶために扉を開けた。
この家に居るのは、両親と佐久間。
それからメイドが何人かと、父と母それぞれの仕事を
手伝う助手が1人ずつ。
佐久間が来る前はもちろんメイドが私の世話をしていたけど
今じゃほとんど部屋を出入りすることも無くなった。
｢さくまー、｣
呼んでみても返事がない。
メイドの笑い声が聞こえたから、
下へと繋がる螺旋階段の方をちらりと見た。
佐久間とメイド2人が楽しそうに話しているのが見えた。
主人の髪よりメイドとのお話ですか。
了解です。それはそれで。
開けた扉を閉めて鍵をかける。
髪、自分で出来ないことはないけれど
佐久間がやった方が後ろまで綺麗にできるから頼んでた。
けれど、楽しんでる彼らを邪魔してまで
呼びつけるほどの用事じゃない。
そういうのをしてくれる人が居るとはいえ、
自分で出来るに越したことはないのだ。
…佐久間には巻いてもらおうと思ってたけど
もうめんどくさいしストレートでいいや。
携帯で動画を流しながらちょっとずつアイロンを通す。
3分の2が終わる頃、控えめにノックがされた。
｢なに？｣
『お嬢様…お着替えとお化粧は終わられましたか』
｢終わってる。とっくに｣
『なら俺が髪を、』
｢自分でやってるから今日はいいわ。
メイドと話していてくれて大丈夫よ｣
あくまでも優しく言ったつもりだったのだが
佐久間はそう受け取らなかったらしい。
別に怒ってないのに、小さな声で謝罪している。
確かに部屋の前で待機しているべきではあった。
これがメイドだったなら、怒ったと思う。
だけど佐久間には伸び伸びして欲しい。
ここのルールを押しつけることで、この家に染まってほしくない。
『申し訳ありません。これからは部屋の前で待機しておきます』
｢別にいい。自分でも出来ること。
練習しなければならないのは確かだし｣
『…俺が、やりたかったんです』
シュンとした声色はまるで子犬。
鍵を開けると遠慮がちに開いた扉。
『わぁ…お綺麗です…！
後ろだけでも佐久間にやらせてもらえませんか？』
頷いてアイロンを渡すと彼に笑顔が戻った。
佐久間に髪を触られるのは、悪くない。
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カジャ(プロフ) - なべさん» 大変嬉しいコメントありがとうございます。もう少しお付き合いください。 (3月13日 18時) (
レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
なべ(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。 前作の縁‐YUAN‐から読ませていただいてます。 とても素敵なお話だな、と思いながら…今後も更新楽しみにしています。 (3月13日 3時) (レス) @page26 id: d14fd2bd0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カジャ
| 作成日時：2024年3月2日 18時
