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阿部が薬を探している間も唸り続けしんどそうにしているA。
渡辺
｢ごめん、俺らが魔界に連れて行ったばっかりに…｣
小さく呟くと、その声が聞こえていたのかAは俺の腕の中で弱々しく服を掴まれて首を振っている。
阿部
｢すぐ良くなると思うよ。人間で言う知恵熱みたいなものだと思うから。
ほら、俺たちも
薬を見つけてきたのか、戻ってきた阿部が言った。
渡辺
｢確かにそうだけど、それとこれとは…｣
阿部
｢まぁそうだね。俺たちは俺たちの意思で来たけど、Aは半ば強制気味だったしね。｣
渡辺
｢うん…｣
阿部
｢何。いつになく真剣に考えてるね。笑｣
薬をAに飲ませながら揶揄う様に言ってきた。
その言葉の意味を、今の俺は少し理解してしまっている。
渡辺
｢……。｣
阿部
｢まぁ、その感情をたまには素直に出してみてもいいんじゃない？｣
渡辺
｢分かんねぇんだよ。これが正解なのか。｣
阿部
｢正解とか間違いとか、そんなのないんじゃない？｣
渡辺
｢でも、間違ってた時に苦しむのは俺じゃない。確実にコイツなんだよ。｣
阿部
｢守るっていう選択肢はないの？｣
渡辺
｢あるよそんなもん。拾ってきた時から。そんな軽い気持ちで拾ってねぇ。｣
阿部
｢だよね。｣
渡辺
｢ただ、自信がねぇの。今までAにしてやれた事って本当に限られてて、いざAが苦しんでる時、ちゃんと頼られる存在で居られるのかがわかんない。
今回だってベールかけるのもふっかに任せてたし。
それでも、誰よりも守りたいっていう意思は強い自信だけはある。｣
薬を飲んでまたすぐに寝てしまったAを横目に本音を少しだけ零したはずが、気づけば感情のほぼ全てを話してしまっていた。
はぁ、本当に情けない…。
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作者名：あおだるま | 作成日時：2023年6月1日 22時
