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渡辺
｢くそっ、読みではもうちょい遅いはずなのに。｣
向井
｢間に合う…？｣
渡辺
｢完成はしてない。追いつくかも微妙なとこ。｣
『…私、みんなを助けれない…？』
渡辺
｢いや、できるとは思う。ただ、今のままだとAの魔力ギリギリまで使わないと俺らの魔力に耐えられない。｣
『じゃあ…！』
渡辺
｢んな事絶対すんな。｣
『なんで、』
向井
｢今練習してるやつはな、魔力をギリギリまで使ってほかの悪魔の魔力を吸い取らなあかんねん。
でも、そうするとほかの悪魔の魔力に自分が負ける可能性があるんよ。｣
渡辺
｢そうなったら今度こそお前が目を覚まさないかもしれない。｣
『それでもいいよ。』
渡辺
｢いいわけないだろ！｣
『いいよ！ここにいるだけで迷惑かけてるんだから！
最後くらい、力にならせてよ！』
泣き叫びながら訴えるAに、申し訳なさと、悔しさとが混ざって複雑な気持ちになった。
渡辺
｢言ったろ。迷惑なんかじゃねぇ。これは俺のわがまま。巻き込んでるのはこっちなんだよ。｣
『私にはここまで生かせてもらった恩があるの。もしかしたら拾ってくれなかったら、一緒に暮らそうと思ってくれなかったら、あの時点で私はもうこの世界にはいない。』
渡辺
｢お前、Aから俺らを離れることは無いんじゃなかったのかよ。｣
『離れないよ。ずっとしょっぴーの中で生き続けるから。』
渡辺
｢ふざけんな。いなくなるつもりじゃねぇかよ。｣
『大真面目だよ。』
渡辺
｢あっそ。じゃあ好きにしろよ。俺は認めねぇからな。そんな方法。｣
これ以上話していたら言葉が酷くなりそうだと思い、その場から立ち去った。
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作者名：あおだるま | 作成日時：2023年6月1日 22時
