hazel eyes 7 ページ50
「…でも、それじゃあ俺が君のこと呼ぶときに困っちゃうよ」
今の製造番号を覚えられるとも思えないし、何しろいちいち長い。それに、友達…とかいう雰囲気にも欠けるのではないか？その、製造番号で呼ぶというのは。如何にも物に対する扱い感が出てしまって。
「なんか、名前とか…ないかな」
「私には、何も」
「俺が考えたりしても、良いのかな？」
「石橋様がそれを望むのなら」
名前を考える、と言ってもだ。俺は別にネーミングセンスがあるというわけでもなく、何か良い案があるというわけでもない。
彼女の目と自分の目がずっと合っている状況に耐えかねて、ふい と目を逸らして、テレビを見る。
そこには最近人気の女優さんがMCに質問攻めにされている様子が映っていた。
歳は、いくつくらいだろうか。俺より若干年上だろうか。整った顔立ちに、落ち着いた雰囲気はそう、どことなく目の前にいる彼女に似ているような……
「……A」
「A、とは」
思わず口から零れたその名前を、彼女は淡々と復唱する。
「この、今映っている女優さんの名前だよ。どことなく君に似ていると思って」
「似ている、ですか。顔のパーツの配置的に、私との類似度はおおよそ27%といったところでしょうか」
「そういうことを言っているんじゃ、ないんだけどな」
はは、と思わず笑ってしまう。
そんな俺を、彼女は…Aはただ見つめていた。
「あと、石橋様 っていうのもやめてよ」
「いえ、私は貴方に仕える立場の存在です。それはできません」
「でも居心地悪いんだよ…堅苦しいしさ」
そう言えば、Aは顎に手を当て、考える仕草を作った。本当に、よくできている。
「君は、俺と友達になってくれるわけでしょ？」
「私がそう望んだわけではありませんが」
「でも、君は俺のために動いてくれる存在なわけでしょ？その俺が、友達になるためにしたいと思うことは？」
「従います」
従うって…なんか嫌だな…。と苦笑いしつつ、話を進める。
「じゃあ、もっと気軽な感じで呼んでよ。それともそういうプログラムはされていない？」
「いえ」
「それなら俺のこと、遼大って呼んで」
「そうすることで 友達 というものになれるのですか」
「一歩近づくのは間違いないね」
なるほど。そう呟いた彼女は、納得したようにこくりと頷いて、顔を上げた。
また、彼女の、不思議な色をした目と、目が合う。
「遼大、貴方がそう望むのなら」
END
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楪(プロフ) - 喫茶店さん» コメントありがとうございます！穏やかな空気感と丁寧な描写...！具体的なお褒めの言葉ありがとうございます！描写はいつも気をつけている点なので特に嬉しいです！これからも頑張りますので、応援よろしくお願いします！ (2020年3月12日 13時) (
レス) id: d47ce339d2 (このIDを非表示/違反報告)
喫茶店 - 初めまして。穏やかな空気感と丁寧な描写が素敵ですね。もちろんドキドキします！これからも更新を楽しみにしています。 (2020年3月12日 0時) (レス) id: 6d6dcef09a (このIDを非表示/違反報告)
楪(プロフ) - みみっくさん» わーい！コメント嬉しいです！ありがとうございます！！応援もありがとうございます〜頑張りますね！！ (2020年3月11日 22時) (レス) id: d47ce339d2 (このIDを非表示/違反報告)
みみっく(プロフ) - 更新頻度高いのに内容面白いしもう神です！更新頑張って下さい！ (2020年3月11日 20時) (レス) id: d5fadfa717 (このIDを非表示/違反報告)
楪(プロフ) - azuさん» azuさんこんにちは！文章の書き方褒めていただけて嬉しいです...！私が初めて見た石橋さんの小説がazuさんの小説なので光栄です...！笑 マイペースでですが、更新していけたらなと思ってます:-） (2020年2月15日 21時) (レス) id: d47ce339d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楪 | 作成日時：2020年2月15日 19時
