hazel eyes 6 ページ49
「…ここ、が俺の家…です」
「はい」
狭い男一人暮らしの家に、女性(アンドロイドだけど)を招き入れた俺は、ガチガチに緊張していた。
たぶん、顔も赤いし、心臓の鼓動も早い。ああ、心臓に悪い。寿命が縮む。とりあえずリビングに彼女を招き入れ、ソファに座らせる。
…その隣に俺が座るのも如何なものか。
俺はどうするのが正解かわからなくて、立ったまま。
「石橋様」
「っ、はい！」
不意に名前を呼ばれ、飛び上がる。
彼女は、ただただ俺の顔をじっと見つめる。
なんていうんだろう。本当に精巧で、本物みたい。そんな目が、俺を見つめている。でも、その目に感情はない。ああ、きっと…俺にはそれが、居心地悪いんだ。
「顔が赤いです。それに、心拍数も上がっている。もしかして、体調が優れないのでは」
「い、いや…これは、本当に違くて」
誰のせいだと思っているんだ。
と責めても仕方ないか。
俺は、「あ、暑いのかな！暑くない？はは…」と、変に明るく言ってしまい、「いえ、私は暑さを感じませんので」と一蹴され、撃沈する。
不意に訪れる沈黙。俺は何を言ったら良いかわからず、彼女も以前、無表情でただ、前方を見つめる。
ああ、話題…話題がない。沈黙が、痛い。
俺は堪らずテレビをつけた。
ちょうど映っていたのは、俺が何度か出演させてもらったことのあるバラエティ番組。
MCを務める大先輩が、どうも〜！と元気に自己紹介をしていた。
「…そういえば」
彼女の方を見れば、彼女は俺の声に反応し、それから こてりと首を傾げる。人間らしい仕草。作られた仕草。そう感じるのは彼女が無表情だからだろう。
「…君は、名前とかはあるの？」
「名前ですか。そのようなものはありません」
ピシャリとそれだけを言われる。機械的とはこういうことを言うんだな。と何故かしみじみ思ってしまう。
「名前ないって、不便じゃない？」
「いいえ。私たちのようなものには製造番号等がありますから。個々を判別するにはそれだけで十分かと」
と、ぺらぺらとアルファベットと数字を羅列する。それが彼女の製造番号らしかった。
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楪(プロフ) - 喫茶店さん» コメントありがとうございます！穏やかな空気感と丁寧な描写...！具体的なお褒めの言葉ありがとうございます！描写はいつも気をつけている点なので特に嬉しいです！これからも頑張りますので、応援よろしくお願いします！ (2020年3月12日 13時) (
レス) id: d47ce339d2 (このIDを非表示/違反報告)
喫茶店 - 初めまして。穏やかな空気感と丁寧な描写が素敵ですね。もちろんドキドキします！これからも更新を楽しみにしています。 (2020年3月12日 0時) (レス) id: 6d6dcef09a (このIDを非表示/違反報告)
楪(プロフ) - みみっくさん» わーい！コメント嬉しいです！ありがとうございます！！応援もありがとうございます〜頑張りますね！！ (2020年3月11日 22時) (レス) id: d47ce339d2 (このIDを非表示/違反報告)
みみっく(プロフ) - 更新頻度高いのに内容面白いしもう神です！更新頑張って下さい！ (2020年3月11日 20時) (レス) id: d5fadfa717 (このIDを非表示/違反報告)
楪(プロフ) - azuさん» azuさんこんにちは！文章の書き方褒めていただけて嬉しいです...！私が初めて見た石橋さんの小説がazuさんの小説なので光栄です...！笑 マイペースでですが、更新していけたらなと思ってます:-） (2020年2月15日 21時) (レス) id: d47ce339d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楪 | 作成日時：2020年2月15日 19時
