特別な夜 3 ページ28
「あ、あのさー…」
まただよ、と 呆れを通り越して最早面白くなってくる。あ、呆れといっても嫌いとか、うんざりしてるとかではない。
石橋くんは頻りに私に確認をする。
「今日、本当に泊まって良いの?」
と。
私は実家暮らしなんだけど、今日から三日間両親が旅行に行くから、家で自由にできる。だから、石橋くんを招待したのだ。それが今日、石橋くんが縁もゆかりも無いこの街に来た理由。
「うん、大丈夫だよ。それとも、嫌?」
「ううん、全然、全然嫌じゃない。嫌じゃない、けど」
石橋くんは即座にぶんぶんと首を振る。
「…けど?」
「その、やっぱり親御さんとかに怒られたり、しない…?そこが心配…」
「大丈夫だって。上手くやるよ」
「うん……」
しょも…と不安げに眉尻を下げる石橋くん。どうもこの人は心配症だ。それと、とさらに続ける。
「男を家に泊める ってどういう意味か…わかってんの…?」
試すような、少し抑えた、低い声。決してふざけてはいない目の光が、私の目をとらえる。
「……わかってる、って言ったら?」
「ん…」
「むしろ、石橋くんはそのつもりなの?」
「わ、かんない…けど」
私だって馬鹿じゃない。男の人と二人きり、ましてや家に招くなんてどういう意味かわかってる。私だって恋愛経験豊富ではないし、石橋くんだってそう。別に期待してるとか、そういうことではない、でも
「石橋くんがそうしたい、って思ってしたことならなんだって良いよ」
「……ずる、その言葉」
「ふふ」
大丈夫だよ。そんな意味を込めてぎゅっと手を握る力を強めれば、嬉しそうに石橋くんは目を細めた。
153人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
楪(プロフ) - 喫茶店さん» コメントありがとうございます!穏やかな空気感と丁寧な描写...!具体的なお褒めの言葉ありがとうございます!描写はいつも気をつけている点なので特に嬉しいです!これからも頑張りますので、応援よろしくお願いします! (2020年3月12日 13時) (レス) id: d47ce339d2 (このIDを非表示/違反報告)
喫茶店 - 初めまして。穏やかな空気感と丁寧な描写が素敵ですね。もちろんドキドキします!これからも更新を楽しみにしています。 (2020年3月12日 0時) (レス) id: 6d6dcef09a (このIDを非表示/違反報告)
楪(プロフ) - みみっくさん» わーい!コメント嬉しいです!ありがとうございます!!応援もありがとうございます〜頑張りますね!! (2020年3月11日 22時) (レス) id: d47ce339d2 (このIDを非表示/違反報告)
みみっく(プロフ) - 更新頻度高いのに内容面白いしもう神です!更新頑張って下さい! (2020年3月11日 20時) (レス) id: d5fadfa717 (このIDを非表示/違反報告)
楪(プロフ) - azuさん» azuさんこんにちは!文章の書き方褒めていただけて嬉しいです...!私が初めて見た石橋さんの小説がazuさんの小説なので光栄です...!笑 マイペースでですが、更新していけたらなと思ってます:-) (2020年2月15日 21時) (レス) id: d47ce339d2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:楪 | 作成日時:2020年2月15日 19時