太陽の笑顔 4 ページ25
もしかして、さっき褒められた影響で俺、調子づいてるのか？バカか、あんなの社交辞令に決まってる。
引かれてないだろうか、と恐る恐る月島さんの顔を見れば、ばち、と目が合う。
「深い意味、ないんですか？」
「えっ……」
…？思考が停止する。それって、つまり…？えっ…と？
「あ！」
「！！」
思わず大きな声が出て、月島さんがビクリと肩を跳ねさせる。
「さっきはすみませんでした」
「えっ、え、なんでですか？」
「あんな急にカメラ向けられるような絡み方しちゃって」
俺が深々と頭を下げれば、月島さんはおろおろして、慌てて俺に顔を上げるように言う。
「拓実とかも悪気はないと思うんで、もし嫌だったなら本当にすみません…」
「あ、いや…」
「ああいう風に映るの嫌だったかなって…」
「本当に全然平気なんで。気にしないでください…！」
にこ、と優しく微笑まれ、俺は心底ほっとした。
「石橋さんとお話できたので嬉しかったです」
「え」
「握手、してもらっても良いですか？」
「あ、はい」
今どきの女性は、そういうことをこうも簡単に言うのだろうか。それに翻弄される男性は大変だなぁ、と他人事のように思う。
手を差し出せば、白くて、華奢な手が、俺の手をきゅっと包み込んだ。
「…？」
「おい！バシ！！」
そこにはすっかり元気を取り戻した都築と拓実が立っていた。
「おいおい！選ばれたからって調子乗るなよバシ！」
「月島ちゃんすみませんね、うちのバシくんが」
都築が俺と月島さんを引き剥がして、拓実が優しく月島さんに語りかける。
「月島、バシなんてほっといて良いから！」
「今日のロケお疲れ様」
じゃーね、と拓実が手を振り、遠回しに 帰れ と牽制すると、月島さんは察し良くこくりと頷いて。
「お疲れ様でした！また次のロケで！」
眩しいほどの笑顔を俺たちに向け、スタッフ陣のところへかけて行った。
「おい！抜けがけすんなよな！」
「お前こそ彼女いんのに地上波で鼻の下伸ばしてんなよ…」
依然ギャーギャーうるさい都築に憎まれ口を叩きながら、さっきまで月島さんに触れていた、自身の手をぎゅっと握る。
カサッという紙の感触。
良かったら連絡ください
080-○○○○-○○○○
月島 A
「…他人事じゃないかもしれない」
「なんか言った？」
「何も」
帰りのロケバスの中、気づいたら手の中にあったメモを見つめ、俺は頭を抱えた。
END
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楪(プロフ) - 喫茶店さん» コメントありがとうございます！穏やかな空気感と丁寧な描写...！具体的なお褒めの言葉ありがとうございます！描写はいつも気をつけている点なので特に嬉しいです！これからも頑張りますので、応援よろしくお願いします！ (2020年3月12日 13時) (
レス) id: d47ce339d2 (このIDを非表示/違反報告)
喫茶店 - 初めまして。穏やかな空気感と丁寧な描写が素敵ですね。もちろんドキドキします！これからも更新を楽しみにしています。 (2020年3月12日 0時) (レス) id: 6d6dcef09a (このIDを非表示/違反報告)
楪(プロフ) - みみっくさん» わーい！コメント嬉しいです！ありがとうございます！！応援もありがとうございます〜頑張りますね！！ (2020年3月11日 22時) (レス) id: d47ce339d2 (このIDを非表示/違反報告)
みみっく(プロフ) - 更新頻度高いのに内容面白いしもう神です！更新頑張って下さい！ (2020年3月11日 20時) (レス) id: d5fadfa717 (このIDを非表示/違反報告)
楪(プロフ) - azuさん» azuさんこんにちは！文章の書き方褒めていただけて嬉しいです...！私が初めて見た石橋さんの小説がazuさんの小説なので光栄です...！笑 マイペースでですが、更新していけたらなと思ってます:-） (2020年2月15日 21時) (レス) id: d47ce339d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楪 | 作成日時：2020年2月15日 19時
