貴方と、月明かりの下で (ページ32)

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引き続き、莉犬くんsideです。
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『怖い、痛い、嫌だ…
思い出すだけで、吐き気がする。
こんな思いをすることなら、もう死んでしまいたい。
もうやりたくない、生きたくない。』

莉「A…
そんなこと言わないでよ、俺はAに生きて欲しい。」

Aを抱き締めたくて、手を伸ばした俺が馬鹿だった。

『触らないで！！！』

この時、Aを追い込んでしまったのは、紛れもない俺で。
そのせいで、苦しそうに笑っていたAは泣き出してしまって。
強がりで、泣いたことなんか見たことなかったのに。

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日付が変われば、本人は何も無かったように振る舞うから、幻だったんじゃないか、そう思ったけど、Aが自分を傷つける度に、俺たちは嫌でも思い出してしまって。

莉「ごめんね、A…
俺のせいで、Aの傷を深くした。ごめんね…」

『莉犬…』

莉「傷だらけのAはもう、見たくない…」

『ッ！』

驚いた後、目が潤んで、大粒の涙がAの顔を滑った。

『ごめん、ごめんね、莉犬。
傷付けてごめん、心配かけてごめん、1人にしてごめん…』

抱きついてくるAを抱き締めて、頭を撫でる。

莉「もういいよ…俺こそごめんね…
追い詰めてごめん、泣かせてごめん…
もう、大丈夫だから。」

無責任かもしれない。
大丈夫だと何度も繰り返して、全然大丈夫じゃない。
でも、それでもいい。
いつか、本当に“大丈夫”になるまで、俺はAに「大丈夫」って言い続けるよ。