第204話：助力2 ページ10
「何で協力するんだよ。東城大の敵だぞ？」
「田村さんは東城大の患者でしょう」
「隼人さんの話はしてない。高階先生の話をしてんだ。」
「その高階先生がしているのは東城大の患者を救う方法の模索だと言っているんです」
一度ぐっと強く言うと、その医局員は眉をぴくりとひそめた。
だがそれ以上抗議する言葉は無いのか、ただAを見下ろし続ける。
その男の眼鏡の奥。レンズを隔てて見える瞳。
とてもじゃないが、見つめ続けられるには居心地が悪くて仕方ない。
どうも、彼の視線には「熱」がある。
言い表すには難しいのだが、彼が接触してくる際、常にそんな気味の悪さをAは抱いていた。
その熱にいつまでもあてられるのは御免で、正直さっさとこの場から立ち去りたかった。
「あの男に助力したって、お前の名前はどこにも載らないよ。」
「…？」
「名誉なんて得れないってことだ」
一歩、その男がAに近づいた。
さすがに此方もまた一歩下がるなど露骨な拒絶を見せるわけにもいかず、
Aはそのままその男を見上げた。
つまりこの医局員は、高階へ協力してもA自体には無意味だと言いたいのだ。
(しつこいなあ)
患者を助ける為だというに、何がそんなに気に入らないのか。そんなにも東城大が大切なのか。
「ほら、分かったら――、」
「分からないです。」
Aは男の言葉を突っぱね、流れるように一歩、二歩、男から距離を取る。
「残念ですが、私に名誉欲はございませんので。そういうのは萌える者同士でどうぞ！」
―――
――
あとはどうしたかって？遁走の如くここへとやってきましたとも。
(…名誉が欲しいかと言われたら…、あんまりそうでもない…。
名誉のために高階先生手伝ってるんじゃないし…)
例え、この先スナイプが常に実用化され、医療界において凄まじい猛威をふるったとしても。
(私や世良くんの名前が、大きく広まるわけじゃあない)
高階が自主的に研修医ふたりの名を出せば別だろうが、そっちの方が勘弁してほしい。
(…世良くんが高階先生に協力してるのは、間違いなく私と理由は変わらない)
これは自分の主観かつちょっとの偏見だが、世良にもあまり名誉欲というのは無いように思える。
…というか、名誉欲という概念があるのかどうかすら。
去っていく渡海の後ろ姿に土下座をしてまで患者の命を願う男だ。
そこらに転がっている医者より強い、とAはあの頃から思っていた。
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理音(プロフ) - 更新して欲しいです！！待ってます！！ (7月16日 23時) (
レス) id: d2e2ccbd11 (このIDを非表示/違反報告)
狐海(プロフ) - 更新楽しみに待ってます…！ずっと！！待ってます！！ (2023年4月20日 18時) (レス) id: ce22822f8d (このIDを非表示/違反報告)
理音(プロフ) - 続き気になります！更新楽しみにしています！ (2022年5月13日 19時) (レス) id: d1bb6ccd48 (このIDを非表示/違反報告)
積み荷 - すごく面白くて続きが気になって三回もコメントするDS民ですこんばんは！もう更新はされないんでしょうか…きっとお忙しいのだと思います、事情も知らない外野ですがなんか応援してます！ (2020年2月19日 1時) (レス) id: 03bfdf54f9 (このIDを非表示/違反報告)
昇降機 - めちゃめちゃ面白いですいつまででも待ってます…！原作も読みましたが面白かったです(影響受けた)続きを楽しみにしてます…！ (2020年2月5日 20時) (レス) id: 03bfdf54f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：K | 作成日時：2018年7月21日 20時
