第203話：助力1 ページ9
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カタ、とパソコンのキーボードが沈んだ。信号が伝達し、「×」が小さな枠の中に表示される。
「…ふー……」
「よし、一度休憩しよう。ありがとう、二人とも。」
「あ〜〜〜…地道な作業……」
「そういうものさ」
高階の一声により、世良とAの緊張が一気に解ける。
Aは一気に脱力し、近くにあったパイプ椅子へ崩れ落ちるように着席した。
数時間ずっと似た体勢を取り続けていた身体はみしりと軋む。
テーブルの上には3Dプリンターによって生成された心臓模型。透明な水槽の中に沈んでいる。
田村隼人という患者の心臓と同じ構造を持つ代物。
(つくづく便利な世界になったなあ)
そんな便利な世界に生きる人間であるのに切実にそう思った。
電灯に照らされるそれは、一種の希望だ。
医療というものはぐんぐんと進むらしい。
結局、医療そのものが一体なんであるのか、答えは得ていないが。
「だいぶ検証進みましたね。一筋縄じゃいかないのが現状ですけど…」
つたない表情を作りながら、Aは未だ模型と真剣に向き合う高階を見上げた。
その横顔は、Aの言葉など届いていない。その目はもっともっと別の方向を見ている。
「もう少しだ。もう少しで…。」
ぶつぶつと呟くその姿はある意味また恐ろしい何かだ。
「………。」
この人は、一体何を信じてここまでやってきたのだろう。
その瞳を、尽きぬ闘志そのものだと思った。消えぬ炎のようだと思った。
それを見続けることができなくて、Aはふいっと高階の横顔から目を逸らした。
逸らした先には世良がぐったりとした様子で壁にもたれかかっていた。
(時代が動くのを間近で見ている気がする)
「気がする」だけ。確信めいたものはない。
スナイプというものが革命的な医療用具になることは違いない。
元より、それが開発された時点で一種の時代の先進である。
「………。」
ここに来る前。数時間前の話だ。眼鏡の男性医局員に呼び止められた際に交わした会話を思い出す。
――――――
――
「はあ？あの人の手伝いするってのか？」
「まあ……、そうですね」
少し手伝ってほしい、という要請を、高階の手伝いをするという理由で断ったのだ。
断るのはまだ良いだろう。だが、高階の名を出した途端、その医局員は露骨に顔つきを変えた。
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理音(プロフ) - 更新して欲しいです！！待ってます！！ (7月16日 23時) (
レス) id: d2e2ccbd11 (このIDを非表示/違反報告)
狐海(プロフ) - 更新楽しみに待ってます…！ずっと！！待ってます！！ (2023年4月20日 18時) (レス) id: ce22822f8d (このIDを非表示/違反報告)
理音(プロフ) - 続き気になります！更新楽しみにしています！ (2022年5月13日 19時) (レス) id: d1bb6ccd48 (このIDを非表示/違反報告)
積み荷 - すごく面白くて続きが気になって三回もコメントするDS民ですこんばんは！もう更新はされないんでしょうか…きっとお忙しいのだと思います、事情も知らない外野ですがなんか応援してます！ (2020年2月19日 1時) (レス) id: 03bfdf54f9 (このIDを非表示/違反報告)
昇降機 - めちゃめちゃ面白いですいつまででも待ってます…！原作も読みましたが面白かったです(影響受けた)続きを楽しみにしてます…！ (2020年2月5日 20時) (レス) id: 03bfdf54f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：K | 作成日時：2018年7月21日 20時
