第212話：傍観者 ページ18
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ずいぶん前の話らしい。
三年前とか、そのへんだって。
一人の少女が悪魔に憧憬の眼差しを、感情を向けたんだと。
その少女の父親はどうも命は長くはなかった。心臓病だった。
…なんの病気だったかは、教えて貰えなかった。
それを救ったのが悪魔だったと。
当初は神様の予定だったらしい。それがどういうわけか悪魔に変更された。
肉親の手術をモニター越しに見ていたのかどうなのか。
いずれにせよ、本来悪魔に向けられるものではない瞳を、悪魔本人は見たんだという。
その後父親はどうなったか。さあ、術後の健康状態は至って良好だった。
けれども、豪雨でスリップした車に衝突され、その後は。
「…もうひとつ聞いてもいいですか」
研修医は悪魔に問う。悪魔の返答はなく、その沈黙を了承と得て彼は口を開く。
「その女性は、今は。」
「さあ。その憧れた誰かさんの背中でも追ってんじゃねえの」
生憎、今は逃げてるみたいだけどな。
そう言った彼の声はからりとしていて、けれどどこか熱が籠っていた。
(……先に相手に呑まれたのはどちらなんだろう)
世良には判断しかねる代物だった。
―――この話をしてくれるということは、別にひた隠しにするつもりもなかったということだろう。
聞かれなきゃ話すこともない。聞かれれば話す。
それでも世良にとっては、果たして自分が知っていい事であったのかと、疑問に思うのだ。
「世良」
「…はい？」
顔を伏せていた世良に、渡海は顔をあげるのを促すように名を呼んだ。
「わっ、」
世良が渡海を見るのと同時。コツン、と世良の額にペットボトルの底が押し当てられた。
「他言するなよ」
渡海はそれだけ言うと、左手に持っていた空のペットボトルを世良に手渡す。
「はあ、それはもちろ……。えっ、これどうするんですか」
「捨てといて」
「自分でやってくださいよ！？って居ないし！」
■
「…へえ、渡海先生が…。」
「……。」
「…あの人が上だっただけです、高階先生」
Aはそうあっけらかんと言う。しかし高階に気遣ってか、声色は優しい。
吹き抜けの廊下には人々の声や物音が反響し、二人の会話は意識しなければ聞こえない。
(…そうか、私達が検証しなくったって、渡海先生にはルートが分かるんだ)
Aは高階から一通りの話を聞いた。
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理音(プロフ) - 更新して欲しいです！！待ってます！！ (7月16日 23時) (
レス) id: d2e2ccbd11 (このIDを非表示/違反報告)
狐海(プロフ) - 更新楽しみに待ってます…！ずっと！！待ってます！！ (2023年4月20日 18時) (レス) id: ce22822f8d (このIDを非表示/違反報告)
理音(プロフ) - 続き気になります！更新楽しみにしています！ (2022年5月13日 19時) (レス) id: d1bb6ccd48 (このIDを非表示/違反報告)
積み荷 - すごく面白くて続きが気になって三回もコメントするDS民ですこんばんは！もう更新はされないんでしょうか…きっとお忙しいのだと思います、事情も知らない外野ですがなんか応援してます！ (2020年2月19日 1時) (レス) id: 03bfdf54f9 (このIDを非表示/違反報告)
昇降機 - めちゃめちゃ面白いですいつまででも待ってます…！原作も読みましたが面白かったです(影響受けた)続きを楽しみにしてます…！ (2020年2月5日 20時) (レス) id: 03bfdf54f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：K | 作成日時：2018年7月21日 20時
