第173話：効果抜群 ページ28
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あれは自分への好意に気づかない鈍感娘に違いないだろう。
どれだけ他人に優しくされようと、対する評価は「友人」や「優しい人」の域を出ないのだ。
それ故に振り向かない彼女相手に撃沈した人間もいるであろうことは予想つく。
つまりあの研修医は色恋沙汰に触れたことはない。
…だからといって、自分は生娘だとカミングアウトするのは人間としてどうなのか。
いくら知らないことの方が多いからといって。
「………はぁー……」
一人になった仮眠室に、誰かの呆れ返った溜息が響いた。
■
「………はぁあーー………」
外来診察室の奥。
頼まれた物品を取りに、一人の研修医が溜息をつきながら入ってきた。
「お疲れー」
「あ、北島くん。お疲れー」
器具が収納されている棚がずらりと並んだその一室には、同期の北島が先客として居た。
北島はAに気づくと軽く挨拶を交わす。
相変わらず爽やかな笑顔である。
「ちゃんと寝たかー？」
「おかげさまで…」
言いながら、Aは隅の棚の扉を開ける。
北島も片手間に作業を進めていた。
(寝たっていうか……うん……)
何も言えない。
せめてあの出来事から意識をそらすことに全力だ。
もうどうやって仮眠室から逃げ出したか覚えていない。
仮眠室を脱出したあとは、もう全力で外来診察室の方へ向かった。
遅刻については何故かあまり追求されなかった。
職員たちには平謝りを繰り返したが、
今度は直々に連絡してね、と優しくたしなめられるのみだったのだ。
―――悔しいのは、今自分の意識がはっきりしていることだ。
あの額への口付けはこの上なく驚いた。
嫌とかそういうのを無しに、ただ驚愕と混乱を極めた。
(もう無い……マジで無い………)
「えっ、どうした」
突然、額をごつんと棚にぶつけたまま動かぬAの奇妙な行動に北島はさすがに動揺した。
「ちょっと…絶望中…」
主に生娘って口走ったことに。
目めっちゃ覚めてることに。
「え？？何か先輩に言われた…？」
「言われたってか言った……」
「？？？」
「情緒不安定みたいになってる…ごめんね…」
「いや紛れもなく情緒不安定だと思う」
「わかる〜〜〜」
そんな情緒不安定(仮)のAは頼まれた器具をいくつか手に取り、棚の扉を閉める。
北島が流れるように一室から去っていき、追うようにしてAもその場から離れた。
未だに熱を持つ額を押さえながら。
(効果抜群、ってかぁーーー…)
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snake20xjapan04(プロフ) - めっちゃ面白いです！ (2018年9月22日 11時) (
レス) id: b0aeedf16f (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - 橘花さん» とてもわかります(;ω;) 確かに続編あったら…とも思うんですが（海堂シリーズ読破者としては特に！）、渡海先生…渡海先生…orzってなります…（笑） へへへっ、自分のペースでもりもりやっていきます！！ありがとうございます！ そうなのよ奥さん！不思議ね！！ (2018年7月22日 0時) (レス) id: f4cc5215a6 (このIDを非表示/違反報告)
橘花(プロフ) - ペアンロスわかります。。ベイストで続編うんぬんの話を聞いてさらにロス再燃。。褒めて欲しい主人公ちゃんと甘えを逃した渡海先生の肩落ち加減がかわいいです…！Ｋさんがたのしく書けることを祈ってます。追い込まないで…。で、2人まだ付き合ってないの奥さん？？ (2018年7月19日 20時) (レス) id: 2798c105f2 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - 橘花さん» とても細かい所まで着目してくださっている！！！作者としてありがたいとこの上ありません(*´Д`*) （そして再びご返答遅れてしまいすみませんorz コメント自体に気づきませんでしたorzいつもありがとうございます…！） (2018年7月19日 13時) (レス) id: f4cc5215a6 (このIDを非表示/違反報告)
橘花(プロフ) - 緊張してキモオタみたいな喋り方しそうですが、よければぜひ♪私は描写、丁寧できれいな言葉でだいすきです。その傾向なかったり…？！(笑)渡海先生の問答で｢美しい…｣の答えに｢…はい｣の…がすてきです(マニアック)案外ノリとテンポのいい2人がすきです！ (2018年7月11日 19時) (レス) id: 2798c105f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：K | 作成日時：2018年6月14日 0時
