第142話：チョコレート ページ46
高階は素直に彼女から手渡されたその甘味を口に含む。
Aもまだ所持していたのか同様にチョコレートを口に放った。
ほっと気持ちが安らぐのを感じる。
高階は手にしていたタブレットを机上に倒し、背もたれに体重をかけた。
…ああ、そういえばろくな糖分すらとっていなかった。じんわりと脳が熱によって痺れていく。
高階はしわを寄せていた眉間を指で押さえながら、隣に立つAを見上げた。
「ひとつ聞いても？」
「はい？答えられることなら」
「君は私を脅威と思わないのかい」
「…脅威？」
「…少なくとも、私はこの東城大の味方と断言できる存在ではない」
「…………。」
Aは突拍子もない高階の言葉を受け、押し黙った。
一瞬理解できなかったかのように目を瞬きさせる。
高階はこの東城大の味方ではない。帝華大の人間だ。
それは彼がこの東城大にやってきた時から皆がそう認識している。
あんな登場の仕方をされれば誰もが敵視するというものだ。
どうも院長に関しては高階にいくぶんか好意的らしいが。
Aも、医局員が高階に対してひそひそを陰口を立てているのは何度か目撃した。
高階が通れば周りは睨みつけるなり顔をしかめるなり、職員たちの反応は露骨だ。
そんな周りの空気から外れて高階に人懐っこく絡むAの存在は高階にとって中々強烈である。
彼女を疎ましく思っているわけではない。出来る限りの礼をしたいとさえ思っているのだ。
同時に、疑問でもあった。なぜ、周りに敵視される可能性を踏んでまでこちらに接触するのか。
高階は黙って彼女の返答を待つ。唐突すぎるその質問に、彼女はどう答えるのか。
Aは首をかしげて、言った。
「同じ医者でしょ」
予想外と言えば、予想外だった。
けれど、本当に、本当によく考えたら、それ以外に答えなんてあるはずなかった。
彼女はそうして障壁を乗り越える。
別に最初から障壁なんてない。
ただ少し小難しい大人になってしまった人たちが勝手に作り上げていただけで。
Aは高階と同じ地を踏み、彼の隣に立つ。何度も、何度もそうしてきた。今もそうだ。
「同じ医者を敵にしちゃ誰も救えません」
Aは無邪気に笑った。
そうか、と高階も笑った。
高階は諦めた様子で、そっと椅子から立ち上がる。
「なるほど、実に単純明快だ。」
「そんなもんです」
「…なら、案ずるべきものは何もないな」
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K(プロフ) - ふみさん» コメントありがとうございます！！大好きと言って頂けてとてもうれしいです（；▽；）！！ありがとうございます！！もはやこれ終わる予感がしない！って自分も思っております（笑）更新も頑張ってまいりますー！！ (2018年6月13日 23時) (
レス) id: f4cc5215a6 (このIDを非表示/違反報告)
ふみ(プロフ) - はじめまして。3まで読ませていただきました。とてもKさんのお話が大好きです。いつまでも見ておきたいので完結しないでください！笑大変ですが更新頑張ってください！ (2018年6月13日 21時) (レス) id: 26dbac27a1 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - 甘楽さん» あ〜〜甘楽さんお久しぶりです！！コメントありがとうございます！！(；▽；)本当ずっとずっと読んでいただけてるんですね…！ありがとうございます…！ ドキドキいただきましたー！！やったぜ！！続編もバリバリ頑張っていきます！！(*´∀`) (2018年6月12日 18時) (レス) id: 8206d0720a (このIDを非表示/違反報告)
甘楽 - お久しぶりです！いつもドキドキしながら楽しみに読ませて頂いてます！続編おめでとうございます！続編も楽しみにしてます！！ (2018年6月11日 23時) (レス) id: 6c0600def1 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - メットさん» コメントありがとうございます！ワクワクドキドキして頂けてよかったです…！！書き甲斐があります(*´ω`*)！ たくさんの応援コールも本当にありがとうございます！！いっぱい頑張れます！！（笑）続編も楽しみにお待ちくださいませ(*ﾉωﾉ)！ (2018年6月11日 21時) (レス) id: f4cc5215a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：K | 作成日時：2018年5月22日 21時
