第140話：新薬 ページ44
「他にも似た薬あるしさ。木下さんだし大丈夫だとは思ってるんだけど」
「だけど？」
「悪魔の手の平の上でコロコロされてたと思うとちくしょうってなる」
「ちくしょうってなるお前が不思議だよ」
「えっ、なんで？」
解せぬ！とばかりにAは形を取り戻して速水と北島に向き直る。
速水は肩を落とし、えー…？と北島は苦笑していた。
「あの渡海先生にああやって歯向かえるのAぐらいじゃないか」
「世良くんのが図太いと思う」
「どっちも大概だよ」
速水は呆れた様子でAの額を軽くコツンと拳で突く。
医局に居た他の研修医や上級医は「それな」といった心情で三人の会話に耳を傾けている。
なぜ世良もAもああも物怖じしないのか。
二人が口を開いた瞬間には医局員は毎度ハラハラするハメになっている。
世良はともかく、Aのあの謎の男気は一体どこから来ているのだろう。
速水も北島もその他医局員も、深くは考えずともたまに思う時があった。
さて、噂をすればなんとやら。
医局の扉が開く。
家族説明が終わった後、勝手に消えていたあの気怠そうな男が医局へと入り込む。
医局員に関心はなく、仮眠室に向かう足取りは早い。
そういえば彼に提出するものがあるのだったとAは思い出す。
椅子から飛び降りて渡海の白衣を引っ掴み、
「渡海先生」と。そう呼ぼうとした。
「お父さん、ちょっと」
「あ？」
「えっ」
医局の空気が凍った。
みるみるうちに彼女の顔からは血の気が引いていく。
医局員たちの視線は一斉にAと渡海へ向き、そのまま視線を外せない。
「………………………」
Aは一瞬黙ったのち、
「…………………失礼しました、渡海先生………」
顔を俯かせてテイク2に入った。
「お父さんって言ったよなお前」
「渡海先生」
「お父さんって」
「渡海先生」
「おと」
「あんたには良心ってもんがないんですかー！！！」
■
「学校の先生をお母さんって呼んじゃうアレだね」
「呼んじゃうアレです………」
その一件をAから一通りを聞いた高階はの言葉に、当のAはしょぼくれていた。
「渡海先生をお父さんって…お父さんって……」
お父さんって。何を間違えたらそうなるんだ。
しばらくは他の研修医たちにもネタにされるだろう。
すでに18時を過ぎた医局の時計を眺める。
Aは数時間前の自分を恨みながら本棚に本を戻す。
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K(プロフ) - ふみさん» コメントありがとうございます！！大好きと言って頂けてとてもうれしいです（；▽；）！！ありがとうございます！！もはやこれ終わる予感がしない！って自分も思っております（笑）更新も頑張ってまいりますー！！ (2018年6月13日 23時) (
レス) id: f4cc5215a6 (このIDを非表示/違反報告)
ふみ(プロフ) - はじめまして。3まで読ませていただきました。とてもKさんのお話が大好きです。いつまでも見ておきたいので完結しないでください！笑大変ですが更新頑張ってください！ (2018年6月13日 21時) (レス) id: 26dbac27a1 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - 甘楽さん» あ〜〜甘楽さんお久しぶりです！！コメントありがとうございます！！(；▽；)本当ずっとずっと読んでいただけてるんですね…！ありがとうございます…！ ドキドキいただきましたー！！やったぜ！！続編もバリバリ頑張っていきます！！(*´∀`) (2018年6月12日 18時) (レス) id: 8206d0720a (このIDを非表示/違反報告)
甘楽 - お久しぶりです！いつもドキドキしながら楽しみに読ませて頂いてます！続編おめでとうございます！続編も楽しみにしてます！！ (2018年6月11日 23時) (レス) id: 6c0600def1 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - メットさん» コメントありがとうございます！ワクワクドキドキして頂けてよかったです…！！書き甲斐があります(*´ω`*)！ たくさんの応援コールも本当にありがとうございます！！いっぱい頑張れます！！（笑）続編も楽しみにお待ちくださいませ(*ﾉωﾉ)！ (2018年6月11日 21時) (レス) id: f4cc5215a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：K | 作成日時：2018年5月22日 21時
