第120話：紙袋 ページ24
島津に覗き込まれる前に、さっとAは腕を背中に回す。
見られてはまずいものではない。でもまずい。非常にまずい。
島津はふーん？と首を傾げたが、それ以上その紙袋に興味を持つことは無かった。
「……。」
二日ぶりに見た研修医たちは至って普段通りだ。
研修医が二日間休んだとしても、そこまで業務に支障はない。
ただ、それは上級医などの面々としての話だ。
同じ研修医にはきっとその分の負担がやってきているだろう。
だが特に彼らは愚痴る様子も、悪態をつく様子もない。
一言程度は言われるかと思ったが、優しい仲間に恵まれたものだ。
「…じゃ、ちょっと渡海先生に用があるから」
言うや否や、Aはいそいそとその場から立ち去った。
「大変だねぇ。いってらっしゃーい」
北島と島津はは少し同情気味に笑って、仮眠室へ入室したAを見送る。
.
.
ノックの音もない。
彼女はただ「失礼しまーす」と間延びした声と共に仮眠室に侵入する。
「あ、起きてる。おはよーございます」
ソファから、既に渡海の姿が見えた。Aは迷いなく向かっていく。
声はかけられた。足音も気配もするだろう。
そうに違いないのに、渡海はAに見向きもしなければ、そこから動きもしない。
「…先生？」
Aが背後から呼びかけても応答はない。
渡海の背中は、Aには疲れているように見えた。
なんせ、顔はすっかりと俯いている。
肘を膝につき、左手で両目を覆うように頭を抱え、Aの気配にも微動だにしない。
「先生？どこか具合が悪いんですか？」
さすがに焦りを募らせたAは、紙袋をソファの傍に放って、渡海の前へ回り込んだ。
「先生？」
彼女はしゃがみこみ、彼の顔を覗き込む。
表情が見えないので、彼の左手にAは自分の右手を添えた。
顔から剥がすように誘導すると、彼の手は特に抵抗を示さず、あっけなく表情を明かした。
彼は両目をゆるく閉じていた。やがて気づいたかのように、そろりと開けた。
「………ん」
寝起きのような、這うような声。彼の声だ。
Aは安堵の息をつきながらも、渡海に迫る。
「あっ、気づいた。先生、大丈夫ですか」
「…………A？」
渡海はゆっくりと視線を彷徨わせる。
「はい、Aです。識別はちゃんと出来てますね。」
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K(プロフ) - ふみさん» コメントありがとうございます！！大好きと言って頂けてとてもうれしいです（；▽；）！！ありがとうございます！！もはやこれ終わる予感がしない！って自分も思っております（笑）更新も頑張ってまいりますー！！ (2018年6月13日 23時) (
レス) id: f4cc5215a6 (このIDを非表示/違反報告)
ふみ(プロフ) - はじめまして。3まで読ませていただきました。とてもKさんのお話が大好きです。いつまでも見ておきたいので完結しないでください！笑大変ですが更新頑張ってください！ (2018年6月13日 21時) (レス) id: 26dbac27a1 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - 甘楽さん» あ〜〜甘楽さんお久しぶりです！！コメントありがとうございます！！(；▽；)本当ずっとずっと読んでいただけてるんですね…！ありがとうございます…！ ドキドキいただきましたー！！やったぜ！！続編もバリバリ頑張っていきます！！(*´∀`) (2018年6月12日 18時) (レス) id: 8206d0720a (このIDを非表示/違反報告)
甘楽 - お久しぶりです！いつもドキドキしながら楽しみに読ませて頂いてます！続編おめでとうございます！続編も楽しみにしてます！！ (2018年6月11日 23時) (レス) id: 6c0600def1 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - メットさん» コメントありがとうございます！ワクワクドキドキして頂けてよかったです…！！書き甲斐があります(*´ω`*)！ たくさんの応援コールも本当にありがとうございます！！いっぱい頑張れます！！（笑）続編も楽しみにお待ちくださいませ(*ﾉωﾉ)！ (2018年6月11日 21時) (レス) id: f4cc5215a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：K | 作成日時：2018年5月22日 21時
