第107話：隠密行動4 ページ11
「………なんですか」
Aの瞳には若干の膜が張られていた。それは照明の光を反射して、僅かに光る。
それが溜まりに溜まって零れるところは、渡海は一度しか見たことがない。
「その情けねーツラ目に焼き付けておこうと思って」
言いながら、渡海は両手の力を込めた。
彼女の少しだけ潤んだ目と視線をかち合わせて、絶対に逸らさないようにする。
「………先生ってそういう趣味がおありで？」
「お前限定ならな」
「世良くんの一件は忘れてないですよ私」
彼女が言っているのは、例のスナイプ手術の執刀医を決める際のカンファレンスだ。
渡海が資料を机から凪ぎ落としたあの一件。
あのことから鑑みても、お前は根本的にサディスティックだろうと言いたいらしい。
「…はなしてください」
じろ、とその目は目の前の悪魔を弱々しく睨むが、渡海は痛くも痒くもない。
聞かずにずっと彼女の目を見つめている。
申し訳程度に、彼女は渡海の手首を掴んで引き剥がそうとするも効果は見られない。
「…っ」
Aは意を決したように、ぎゅっと目を閉じた。
(これで見られないでしょ、ざまぁみろ！)
(…とか思ってんだろうな)
こいつバカなんだろうか。バカだな。高階との食事をOKしたぐらいなのだから。
目を固く瞑る(若干得意げな)彼女を見下ろして、渡海は鼻で笑いそうになった。
そっと顔と顔の距離を縮める。
思いの外、彼女のまつ毛が長く整っていることに気付く。
近づいた気配に気付いているくせに、Aは瞳を閉じ込めたまま。
健気なその姿勢に調子を狂わされる。
ひとつ驚かせてやろうと思ったが、もういい。
「ふへ」
渡海は彼女の弾力のいい頬をつねり、軽く引っ張った。
Aはとにかく呆気にとられている。
「…間抜け面」
「なんなんふぇふかー！」
「…ハッ」
ついにおかしくなってきて、渡海は溜息を交えて笑う。
どこまでも小馬鹿にしたような笑い方だ。
いつもそれは腹立たしいのに、今ばかりは皮肉的なものは感じ得ない。
なぜだろう、とAは不思議そうに目を瞬きさせた。
やがて渡海は彼女を解放し、前へスタスタ歩いていってしまう。
Aも慌ててその背中を追いかける。
上機嫌なその背中に、ちょっとした不気味さをAは抱いていた。
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K(プロフ) - ふみさん» コメントありがとうございます！！大好きと言って頂けてとてもうれしいです（；▽；）！！ありがとうございます！！もはやこれ終わる予感がしない！って自分も思っております（笑）更新も頑張ってまいりますー！！ (2018年6月13日 23時) (
レス) id: f4cc5215a6 (このIDを非表示/違反報告)
ふみ(プロフ) - はじめまして。3まで読ませていただきました。とてもKさんのお話が大好きです。いつまでも見ておきたいので完結しないでください！笑大変ですが更新頑張ってください！ (2018年6月13日 21時) (レス) id: 26dbac27a1 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - 甘楽さん» あ〜〜甘楽さんお久しぶりです！！コメントありがとうございます！！(；▽；)本当ずっとずっと読んでいただけてるんですね…！ありがとうございます…！ ドキドキいただきましたー！！やったぜ！！続編もバリバリ頑張っていきます！！(*´∀`) (2018年6月12日 18時) (レス) id: 8206d0720a (このIDを非表示/違反報告)
甘楽 - お久しぶりです！いつもドキドキしながら楽しみに読ませて頂いてます！続編おめでとうございます！続編も楽しみにしてます！！ (2018年6月11日 23時) (レス) id: 6c0600def1 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - メットさん» コメントありがとうございます！ワクワクドキドキして頂けてよかったです…！！書き甲斐があります(*´ω`*)！ たくさんの応援コールも本当にありがとうございます！！いっぱい頑張れます！！（笑）続編も楽しみにお待ちくださいませ(*ﾉωﾉ)！ (2018年6月11日 21時) (レス) id: f4cc5215a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：K | 作成日時：2018年5月22日 21時
