第96話：暗がり4 ページ49
「………っ、け、警戒心はありますよ？」
「へぇ？」
渡海は薄く笑う。
悪魔から顔を逸らしながら怯えるように告げる彼女の声は、
怯えているというより、焦っている。
とにかく何か言わなければ、という焦り。
Aは自分の頭がいい加減な事になっているのを理解しているが、
それでも気持ちばかりが先走る。
渡海も、その言葉を真に受けているのかいないのか。
適当にあしらっているだけなのか。目の前の彼女の狼狽を愉しんでいるのか。
どうともとれない渡海の様子すら、Aは今は視認できない。
ただただ、言葉を繋ぐのみ。
「ていうか、そもそも渡海先生が私に何かするなん………、」
そう言いかけたところで、Aは口をぴったりと閉じた。
渡海先生が私に何かするなんて、考えられない―――。
―――人はそれを、警戒心が無い、って言うんだ。
冷静な自分が、混乱する自分を引っ叩いた。
どうしよう。なんて言おう。
え？つまり、先生は、そういう？
でも、そんなはずは。だって前だって、似たような状況があった。
なんで今更？だって、だって―――。
「…………………。」
―――言葉が、出ない。Aは呆然とした。
「ま、いいけど」
「……えっ？」
Aが必死に言葉を頭の中で並べる中、あるいは一周回って思考停止する中、
渡海はその彼女の緊張の糸を切るように口を開いた。
……何。何なんだ。Aは渡海を見上げたが、渡海はすでにいない。
電気をつけにベッドから遠ざかっていた。
「何？」
「………ナンデモナイデス」
渡海は少し離れた場所に居た。光源によって居場所が分かる。
先程の流れなど忘れてしまったかのように、渡海は今も通常運転だ。
もうこっちの台詞だよ。今度こそ一発どついたって誰も文句は言わないんじゃないか。
ぐるぐると頭の中を彷徨っていた混乱は、怒りにも似た何かに変化していく。
…さすがに驚いた。恐怖したの方が正しいか。
Aはいつのまにか心臓がそれなりに大きな音を立てていたのに気付く。
(…怒ってもしゃーない…。実際、警戒心がないのは事実だったし…)
そもそも、渡海は「警戒心無いんだな」と、一言入れただけだ。
それ以上、本当に何も言っていなければ、何もやっていない。
勝手にやたら思考を巡らせて、勝手にやたら焦ったのは此方だ、と、
Aは目を閉じて自分を落ち着かせる。
(……いやいや、焦るって。あんな事言われたら！)
ダメだ、やっぱり解せない。
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K(プロフ) - 夢喰。さん» 続編出ました！（笑）次はもうちょい甘々を詰めていきたいと思っています…！！楽しみにしてくださっていて本当に嬉しいです！！頑張っていきます！！(*ﾉωﾉ) (2018年5月22日 21時) (
レス) id: ef8449c676 (このIDを非表示/違反報告)
夢喰。(プロフ) - 続編が出ると聞いてきました！！やっぱり甘さが欲しくなりますね(*´°`*)渡海先生が夢主のことをどう思ってたりするのかとか...！楽しみで仕方がありません！！！この小説が大好きです！！ (2018年5月22日 16時) (レス) id: eb55596a4e (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - えりかさん» 大好きと言って頂けて、感謝するばかりです！！続けざまにコメント返信してすみません！（笑）いっぱい感想頂けたのでつい…！！これからもガンガン頑張っていきます(*´∀`*)！ (2018年5月21日 23時) (レス) id: ef8449c676 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - えりかさん» ああ〜〜いっぱい感想ありがとうございます(´；ω；`)本当に嬉しいでずー！！筋も、自分なりに頑張って組み立ててるのですが、くどいかなぁーとたまに不安だったので、そのお言葉を頂けて本当に嬉しいです。渡海先生も魅力的に伝わっているようで安心しました…！！ (2018年5月21日 23時) (レス) id: ef8449c676 (このIDを非表示/違反報告)
えりか - ブラックペアンが好きで、あ、渡海先生が好きで、あ、ニノが好きで読ませて頂いてます！ほんとに筋書きがしっかりされててほんと読んでて飽きません！そして、とっても渡海先生が魅力的です！笑 ほんとにこの作品大好きです。たくさん感想を言いたいのにもう文字数が笑 (2018年5月21日 23時) (レス) id: ad8be1e361 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：K | 作成日時：2018年5月10日 0時
