第84話：暇を持て余す4 ページ37
(なんか、近―――)
Aがそれにたじろぐ前に、渡海の手が彼女の前髪を掻き上げる。
こつん、と。
渡海の額とAの額が重なった。
「え…」
「………」
―――おでこが冷たい。第一に思ったのは、そんな率直な感想。
渡海は黙っている。Aは驚きのあまり絶句するしかない。
というより、脳の処理が追いついていない。一周回ってAは何の抵抗もしなかった。
先生？と声をかけたかったが、渡海は集中するように黙っている。
(…熱、測られてる…？)
…熱が充満している頭に、彼の冷たい体温は心地よかった。
体温計の計測はそこそこに長い。
一度エラーを吐かせてしまったから、渡海は痺れを切らしたのだろうか。
(この人なら、触っただけで大体の温度とか分かっちゃうのかな…)
…………自分で考えておいてなんだが、普通にあり得る。
それこそ物凄く精密な温度の測定は限度があるとしても、
大まかなものは触れれば分かるだろう。
たぶん、今は軽い診察をされている。
(この人に診察されるとか、なんかむず痒いなぁ……)
「平熱は？」
「へっ」
変なこと考えてたら不意打ちを食らった。いつも間抜けな声を出している気がする。
あまりに近い渡海の目に意識を奪われながらも、必死に思考を回した。
「平熱…36度ぐらい…です」
「じゃ、微熱」
「…何度か分かるんですか？」
「ざっと37度前半」
何でだよ。何で分かるんだよ。もう本当に意味が分からない。
でも、信用できる。信用できてしまう。
彼の言う事を、疑えない。
「………じゃあ、午前よりはちょっと下がりました」
「何度？」
「37度8分でした。今日の深夜に差し掛かれば下がるかな…」
「下げたいんだったら横になっとけ」
「えー……眠気がないです…」
「治したくないんだったらいいけど」
「…………寝まーす」
Aの若干ふてくされたような言葉を最後に、渡海の顔が離れていく。
ちょっと冷たくて気持ちよかったのにな、と、惜しさを感じた。
＝＝作者＝＝
渡海先生ならざっくりとした温度くらい普通に測れると思っている
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K(プロフ) - 夢喰。さん» 続編出ました！（笑）次はもうちょい甘々を詰めていきたいと思っています…！！楽しみにしてくださっていて本当に嬉しいです！！頑張っていきます！！(*ﾉωﾉ) (2018年5月22日 21時) (
レス) id: ef8449c676 (このIDを非表示/違反報告)
夢喰。(プロフ) - 続編が出ると聞いてきました！！やっぱり甘さが欲しくなりますね(*´°`*)渡海先生が夢主のことをどう思ってたりするのかとか...！楽しみで仕方がありません！！！この小説が大好きです！！ (2018年5月22日 16時) (レス) id: eb55596a4e (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - えりかさん» 大好きと言って頂けて、感謝するばかりです！！続けざまにコメント返信してすみません！（笑）いっぱい感想頂けたのでつい…！！これからもガンガン頑張っていきます(*´∀`*)！ (2018年5月21日 23時) (レス) id: ef8449c676 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - えりかさん» ああ〜〜いっぱい感想ありがとうございます(´；ω；`)本当に嬉しいでずー！！筋も、自分なりに頑張って組み立ててるのですが、くどいかなぁーとたまに不安だったので、そのお言葉を頂けて本当に嬉しいです。渡海先生も魅力的に伝わっているようで安心しました…！！ (2018年5月21日 23時) (レス) id: ef8449c676 (このIDを非表示/違反報告)
えりか - ブラックペアンが好きで、あ、渡海先生が好きで、あ、ニノが好きで読ませて頂いてます！ほんとに筋書きがしっかりされててほんと読んでて飽きません！そして、とっても渡海先生が魅力的です！笑 ほんとにこの作品大好きです。たくさん感想を言いたいのにもう文字数が笑 (2018年5月21日 23時) (レス) id: ad8be1e361 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：K | 作成日時：2018年5月10日 0時
