第80話：白衣 ページ33
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「ね、せんせ」
Aはベッドに座りながら、ソファに横になっているであろう渡海を呼ぶ。
ソファの向こうから返答はない。
「私の白衣、知らないですか？腕時計とか、名札とかもなくて…」
ずいぶんと置いてけぼりにしていた問題だが、
ようやくAも自分の意識がはっきりしてきた。
あの手術のあと、デスクに置いておいたはずの白衣や腕時計、名札が消えていた。
……手術のあと、と思うと、再び胃が痺れるような感覚に陥った。
だがそれとこれとは話が別だ。Aは僅かに震えた声で渡海に尋ねる。
「こっちにある」
「そりゃ知らな、 えっ？」
予想外の回答にAはソファを二度見した。
「あるって言いました？」
「うん」
「なんで！？なんであるんですか！！盗ったんですか！？」
Aはベッドから這い出て、ソファを覗き込んで叫んだ。
そこには涼しい顔で横たわっている渡海がいる。
「人聞き悪いな」
「事実でしょ！なんでそん、な…」
はた、とAの言葉が切れた。
渡海と目が合う。
彼の表情はどこか真剣で、こちらの奥を見据えようとしている。
(……？)
適当にあしらわれるだろうと思っていた。いや、あしらわれても困るんだけど。
ただ、かといってそんな顔を向けられるとも思っていなかった。
その表情は、なんだ。
Aは目をそらせずにいたが、やがて渡海からするりと視線を外される。
そして、すっと渡海が壁際を指差した。
「？」
渡海が指した方を見ると、白衣をかけたハンガーが壁に吊るされていた。
物が乱雑しているせいで、少し壁と擬態していた。
目を一瞬凝らさなければ認識できない。
サイズ的にも、あれは。
「あ、私の」
ふらふらと壁際に駆け寄り、念のため白衣のポケットなどをまさぐる。
名札…ある。腕時計…ある。
白衣に常に入れているペンライトも、B5サイズのノートもペンもある。
不足しているものはない。
「………？」
ともあれば、余計に分からない。
そもそも渡海はこういった形の盗みを働くような人物ではないし、
実際、あとで返すつもりではあっただろう。でもなんでこんなことをしたのか。
(…でもなんか、聞けない、な…)
実際、ここに白衣があるのは割と好都合だし。
仮眠室から出る際、人が少なくてもある程度のリスクはある。
やはり白衣を着ておけば廊下で誰かに見られても、顔ぐらい隠しておけばバレないし。
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K(プロフ) - 夢喰。さん» 続編出ました！（笑）次はもうちょい甘々を詰めていきたいと思っています…！！楽しみにしてくださっていて本当に嬉しいです！！頑張っていきます！！(*ﾉωﾉ) (2018年5月22日 21時) (
レス) id: ef8449c676 (このIDを非表示/違反報告)
夢喰。(プロフ) - 続編が出ると聞いてきました！！やっぱり甘さが欲しくなりますね(*´°`*)渡海先生が夢主のことをどう思ってたりするのかとか...！楽しみで仕方がありません！！！この小説が大好きです！！ (2018年5月22日 16時) (レス) id: eb55596a4e (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - えりかさん» 大好きと言って頂けて、感謝するばかりです！！続けざまにコメント返信してすみません！（笑）いっぱい感想頂けたのでつい…！！これからもガンガン頑張っていきます(*´∀`*)！ (2018年5月21日 23時) (レス) id: ef8449c676 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - えりかさん» ああ〜〜いっぱい感想ありがとうございます(´；ω；`)本当に嬉しいでずー！！筋も、自分なりに頑張って組み立ててるのですが、くどいかなぁーとたまに不安だったので、そのお言葉を頂けて本当に嬉しいです。渡海先生も魅力的に伝わっているようで安心しました…！！ (2018年5月21日 23時) (レス) id: ef8449c676 (このIDを非表示/違反報告)
えりか - ブラックペアンが好きで、あ、渡海先生が好きで、あ、ニノが好きで読ませて頂いてます！ほんとに筋書きがしっかりされててほんと読んでて飽きません！そして、とっても渡海先生が魅力的です！笑 ほんとにこの作品大好きです。たくさん感想を言いたいのにもう文字数が笑 (2018年5月21日 23時) (レス) id: ad8be1e361 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：K | 作成日時：2018年5月10日 0時
