第6話：迷子1 ページ8
「お腹……すいた……」
よたよたと細い脚がもつれそうになるのを、通りかかる関係者たちが心配そうに見ている。
そんな目線にAは気づかないほど、疲弊していた。
現在14時半。病棟での業務を終え、外来見学、書類の記入に、
点滴や血液オーダーなどの雑用。そして、手術の見学。
本日はだいぶ少ない方で、皮膚の縫合などを何件か回してもらった。
最近そこそこやっているので、これからはまた機会は少なくなるだろう。
手術リーダーには「上手いね」と褒められ、非常に上機嫌であったのだが…。
(まさか、昼食もとれないとは…)
数時間前。おおよそ13時。
――――――――――――
――
昼食を食べようと食堂へ向かおうとした直後だった。
4歳ほどの女の子がとぼとぼと目を腫らしながら歩いていたのを見たのだ。
ピンク色のワンピース、ふたつ結びのおさげ、整った顔立ち、
もちもちとした肌に、ぱっちりとした瞳は、今じゃ泣き腫らした跡しかない。
ひとけの少ない廊下。
通りかかる医師もいない。看護師もぱたぱたと慌ただしく走り、
多忙を極める人間に、小さな子供は視界に入っていなかった。
「可愛いお姫様、どうしたのですか？」
Aはそんな女の子に声をかけた。
真っ白な壁、床、天井、広々とした空間に、ピンク色のワンピースはとても目をひく。
検査服を来ていないことから、患者ではないことは明白だ。
どうして誰も気づかないのだろうかと周囲を疑ったものだ。
たったひとり、泣きはらした跡をつけて歩く子供をAが見過ごせるはずはない。
少し距離をとりつつ、しゃがみこみながら、洒落た口ぶりで問う。
女の子はぴたりと止まって、自分に声をかけてきた白衣の女性に少し驚いた様子だった。
「まま……、ままが、いないの」
女の子はAの優しげな様子に警戒心を持たなかったのか、彼女に近づく。
Aはしゃがみこんだまま、女の子と目線を合わせながら話し続けた。
不安にさせないように、させないように…。
「うんうん、まま、一緒に捜そうか。」
「うん……うん……」
女の子は再び泣きそうになる。
口をへの字に曲げ、目には涙が浮かんでいる。
恐らく泣き続けていたのだろうが、ずっと声をかけられなかったであろうことから、
大声を上げて泣いていたわけではないらしい。
きっと、人に声をかけられて安心したのだろう。
ずっとひとりぼっちで心細かったろう、とAは女の子の頭を撫でた。
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K(プロフ) - まきさん» ここにも原作を読んでいる方が…！同士よ…！！ 小説も楽しみにしていただいてありがとうございます！ゆるーい感じで楽しんでやってください！ (2018年5月11日 16時) (
レス) id: ef8449c676 (このIDを非表示/違反報告)
まき - こんにの〜Kさんの、小説大好きです！！私も、原作読了してまして、この小説の次の展開と、ドラマを楽しみにしてます！ (2018年5月10日 21時) (レス) id: db7ab848e3 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - 萌さん» ふおおお、なんと…！！！本当にうれしいです…ありがとうございます(；ω；) えええ！！周りに原作を呼んでいる方が少ないのでとても感激…！！！ドラマも共々に楽しんでやってください…！！！(*／ω＼) (2018年5月5日 22時) (レス) id: ef8449c676 (このIDを非表示/違反報告)
萌(プロフ) - こんばんは(._.) K様の小説がとても好きで、初めてお気に入り機能を使っちゃいました！ちなみに、私も原作読了しておりまして、この小説のこれからの展開をドラマとともに楽しみにしております！ (2018年5月5日 20時) (レス) id: ff80283c46 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - 甘楽さん» もったいないお言葉…！！！応援ありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです！！今後の展開も見守ってやってください(*^▽^)/ (2018年5月5日 16時) (レス) id: 8206d0720a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：K | 作成日時：2018年5月3日 1時
