第15話：遅めの昼食 ページ17
「……………………………。」
現実では数秒ほど。しかしAにとっては1時間にも思えるほど、
長い間硬直した。
(……見てたのかあの悪魔―――――――！！！)
お姫様。
可愛い可愛いお姫様。
洒落た口上。
Aには非常〜〜〜に聞き覚えがある。
いや、まさに1時間ほど前に、己がそう言った。あの幼い子供に。
(ていうか言ってたわ！オヒメサマ、って！最初！)
気づくのが遅い、と誰かからのツッコミが入った気がする。が、無視だ無視。
「……はぁー」
もう、頭がどうにかなりそうだ、とAは長い溜息を吐いた。
なんなんだあの悪魔。あの野郎。Aの心は再び荒んでいく。
転びかけたところを助けてくれた、と、思いきや、邪魔とすっぱり切り捨てられる。
かと思えば、買ってきたであろう昼食をくれるし。
(……このサンドイッチ好きなんだよな。あとおにぎりも…)
そして、最近のマイブーム、野菜ジュース。
Aは、どれだけ食堂で食事をとろうとも、最後には必ずコンビニに寄り、
野菜ジュースを一本購入していく。
単純にその野菜ジュースがおいしくてハマってるのだ。あと栄養。
(知ってたの…？)
もし、渡海が、最初から見ていたのだとしたら。
迷子を届けたあと、食堂に向かったところも見られただろう。
花房に呼び出され、食事をとる事は叶わずそのまま手術室に向かうところも。
つまり、渡海はAの今の状況を理解していた。
(……やっぱ分かんないや)
ここまでくると悪魔が新手のツンデレにしか見えなくなってきた。
…が、そんな単純な話ではないのだろう。デレ要素ないし。
「…食べるか」
Aは食事をとることにした。
昼食をとっていなかったから食べていた、という言い訳をすれば、
回診に来なかった理由として、先生達は納得してくれるだろう。
まあ、ご飯食べてなかったのは事実だし。
(今日はパンの気分だなー)
ごそごそとコンビニの袋から、渡海が買ってきたサンドイッチを取りだす。
たまご、ツナ、ポテト。うん、十分十分。夕方まではちゃんと持つだろう。
何気にボリュームがあるのだ。
Aは、共用スペースである白いソファへと腰掛ける。
内心で、少し渡海に感謝をしながら。
「…いただきます」
ああいうところなら好きになれるなあ、なんて思って。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 859人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
K(プロフ) - まきさん» ここにも原作を読んでいる方が…！同士よ…！！ 小説も楽しみにしていただいてありがとうございます！ゆるーい感じで楽しんでやってください！ (2018年5月11日 16時) (
レス) id: ef8449c676 (このIDを非表示/違反報告)
まき - こんにの〜Kさんの、小説大好きです！！私も、原作読了してまして、この小説の次の展開と、ドラマを楽しみにしてます！ (2018年5月10日 21時) (レス) id: db7ab848e3 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - 萌さん» ふおおお、なんと…！！！本当にうれしいです…ありがとうございます(；ω；) えええ！！周りに原作を呼んでいる方が少ないのでとても感激…！！！ドラマも共々に楽しんでやってください…！！！(*／ω＼) (2018年5月5日 22時) (レス) id: ef8449c676 (このIDを非表示/違反報告)
萌(プロフ) - こんばんは(._.) K様の小説がとても好きで、初めてお気に入り機能を使っちゃいました！ちなみに、私も原作読了しておりまして、この小説のこれからの展開をドラマとともに楽しみにしております！ (2018年5月5日 20時) (レス) id: ff80283c46 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - 甘楽さん» もったいないお言葉…！！！応援ありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです！！今後の展開も見守ってやってください(*^▽^)/ (2018年5月5日 16時) (レス) id: 8206d0720a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：K | 作成日時：2018年5月3日 1時
