第13話：密着 ページ15
「………っ」
「重」
「はっ！？」
思わず振り返る。耳に入れたくないあの声。まさか、
「とっ、」
「……。」
(渡海先生―――――！！！)
Aはせいいっぱいに叫んだ。心の中で。
いや、もう絶叫といっていいだろう。
(最悪だ、最悪だ…！ってか顔！顔だけじゃない！距離的に近い！)
Aは心の中で叫び続けているが、
ひどく気だるげで、真っ黒な瞳がこちらを覗いている。
ああ、なんでこういうのに限って顔立ちは良いんだ。ちくしょうめ。
Aは謎めいた罵倒をしていた。
…どうしよう、なんて言おう。
Aはちらりと自分の状況を確認する。
…転んでない。が、お腹に温もりと少しの圧迫感。何かがお腹の下にある。
特に背中が熱い。考えるまでもなく、渡海と密着している証だった。
(いやいやいや、でも、これ抱きしめられてない？)
Aは認めたくなかった。いやしかし認めるべきだった。
渡海は、己の腹に腕を回してまで転倒を防いでくれたのだから。
苦手な人間相手でも、さすがに身を守ってくれたのだ。
殴るとか蹴るとか物騒なことはしちゃいけない。こちらが悪になってしまう。
渡海は右腕をAの腹に回し、左手をデスクにつき、自分自身の身体を支えていた。
…わりと力あるな。ていうか今さっき重いとか言わなかったかコイツ。
「おい、落とすぞ」
「ひゃい！！すみません！！勘弁してくださーい！！」
渡海が唸るように耳元で囁く。
こもった吐息が耳にひっかかり、ぴくっと身体が一瞬跳ねた。
Aはそれを誤魔化すように自分で身体のバランスをとる。
…かける言葉を迷っていたら、余計に渡海との密着が長くなっていた。
思考停止とは恐ろしいものだ。いや、逆だ。Aが一方的に混乱していただけだ。
「あ、ありがとう…ございます…」
Aは一歩二歩下がり、渡海から距離を取る。
少し目を合わせてから、言葉と共に軽く頭を下げた。
…まさか助けてもらえるとは思わなかった、とAは床を見つめながら思う。
(…少しだけ、ほんのちょっとだけ見直)
「邪魔」
落雷に打たれたかのように、Aの頭には衝撃が走った。
前言撤回。
＝＝作者＝＝
渡海先生が登場するまでが長い長い(笑)
もうちょっと迷子のくだりとかは区切ってもいいかもしれないですね。
こっからはガンガン渡海先生が登場します。
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K(プロフ) - まきさん» ここにも原作を読んでいる方が…！同士よ…！！ 小説も楽しみにしていただいてありがとうございます！ゆるーい感じで楽しんでやってください！ (2018年5月11日 16時) (
レス) id: ef8449c676 (このIDを非表示/違反報告)
まき - こんにの〜Kさんの、小説大好きです！！私も、原作読了してまして、この小説の次の展開と、ドラマを楽しみにしてます！ (2018年5月10日 21時) (レス) id: db7ab848e3 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - 萌さん» ふおおお、なんと…！！！本当にうれしいです…ありがとうございます(；ω；) えええ！！周りに原作を呼んでいる方が少ないのでとても感激…！！！ドラマも共々に楽しんでやってください…！！！(*／ω＼) (2018年5月5日 22時) (レス) id: ef8449c676 (このIDを非表示/違反報告)
萌(プロフ) - こんばんは(._.) K様の小説がとても好きで、初めてお気に入り機能を使っちゃいました！ちなみに、私も原作読了しておりまして、この小説のこれからの展開をドラマとともに楽しみにしております！ (2018年5月5日 20時) (レス) id: ff80283c46 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - 甘楽さん» もったいないお言葉…！！！応援ありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです！！今後の展開も見守ってやってください(*^▽^)/ (2018年5月5日 16時) (レス) id: 8206d0720a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：K | 作成日時：2018年5月3日 1時
