２０．小さい頃のお話。〜貴女〜 ページ20
『小さい頃の話、聞いてもいい？』
そう訊いてきた和さんに、私は大切な話を話し始めた。
穏やかで優しかった母と、仕事熱心で家族のことも考えてくれた父。
小さい頃の私は、幸せでした。
「…そうして家族で出掛けていた場所が、ショッピングモールだったんです。
昔のデパートやショッピングモールには、必ず屋上遊園地やゲームコーナーがありましたよね？私は、そこで遊ぶのが大好きでした。
父も私と一緒に、ゲームコーナーで遊んだり、屋上遊園地の乗り物に乗ったりしてくれたんです。ゲームをしない母は、いつも私達のそばでニコニコ笑っていました。
私はその時間が大好きで、家族で一緒にお出掛けするのが大好きでした。」
私はいったん話を止めて、和さんの淹れてくれた麦茶を飲む。
「まだ、聞きますか？」
「はい。続きがありますよね？」
「分かりました。
家族の幸せだった日々は、私が小学生になってから変わりました。
ちょうどその時期、父が仕事で昇進して。
最初は母も私も凄く喜んでいたんですが、徐々に父は家に帰ってくる日が減りました。会社に泊まったり、会社近くにホテルを取って泊まったり…家に帰って来なくなった父とそれを家で待っている母の距離は、だんだん離れていきました。
父が私達のために仕事を頑張っているのは、子供心ながらに分かっていました。
けれど、私が気付いた時には母は…母は、別の男性と心を通わせるようになっていたんです。
父は早い段階で、それに気付いていました。
そうして、私が小学校を卒業する年に、母は家を出て行きました。
朝は普通に「行ってらっしゃい。」って言ってくれたのに、学校から帰ったらもういなかったんです。」
母が出て行った日のことを、私ははっきりと覚えている。
「がらんとした家の中で、母の服と鞄と身の回りの物が消えていることに気が付いて、父の仕事先に電話を掛けました。
父はただ一言、「そうか。」と頷いただけでした。」
和さんは、さっきから一言も話さない。
せっかくお誕生日のお話なのに。
こんな暗い内容で、ひかれましたね。
少し俯いて食卓のおかずを見ている状態から顔を上げると、彼はいなくなっていた。
代わりに、背後に人の気配を感じる。
「Aさん」
名前を呼ばれると、ふわっと肩と背中に温もりが重なった。
彼が私を後ろから抱きしめて、少し体重を預けている。
「泣いてもいいですよ。」
耳元で聞こえたのは、優しく温かい声でした。
２１．彼女の気持ち〜ニノ〜→←１９．彼女の行きたい場所〜ニノ〜
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーナンバー
8
ラッキーアルファベット
X
ラッキー方角
西 - この方角に福があるはずです
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 61人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おちょう(プロフ) - ナリさん» お祝いのメッセージ、ありがとうございます☆フラッシュモブの演出とか、姉の私も聞いてびっくりのプロポーズでした（笑） そんな幸せな空気も大事にしつつ、お話を進めます(=´∀｀)人(´∀｀=) (2016年8月1日 22時) (
レス) id: 81d6a94558 (このIDを非表示/違反報告)
ナリ(プロフ) - 妹さん結婚おめでとうございます＼(^o^)／いいですね♪しかもロマンチックに(笑)更新楽しみにしてます！ (2016年8月1日 12時) (レス) id: 2f90c6a73b (このIDを非表示/違反報告)
おちょう(プロフ) - かよさん» こんばんは☆お待たせしました、昨日はすみませんm(_ _)m そんな、むしろコメント頂けて嬉しいです。ありがとうございます。能瀬さんの方がお姉さんですが、二宮さんは精神的に落ち着いていると思っています。お話は、まだ続きます。 (2016年7月7日 23時) (レス) id: 81d6a94558 (このIDを非表示/違反報告)
かよ(プロフ) - こんばんは☆抱えてるもの持たせてって素敵な言葉ですね☆感動しちゃいます！にのちゃんが守ろうとしてる姿にキュンってします(//▽//)甘い展開も好きです///コメ返ありがとうございます！めちゃ嬉しいです♪相葉ちゃんのと一緒にゆっくり楽しみにしていますね☆ (2016年7月5日 23時) (レス) id: cfef9160fb (このIDを非表示/違反報告)
おちょう(プロフ) - かよさん» こんばんは☆温かいメッセージにコメントまで、ありがとうございますm(_ _)m こちらこそ、よろしくお願いします☆たとえ嫌なことがあっても、二宮さんの一言で泣けます。何だか予想以上に甘い展開ですみません（笑） 明日も続きを書きますので、よろしくです。 (2016年7月5日 23時) (レス) id: 81d6a94558 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おちょう | 作成日時：2016年6月3日 0時
