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「涼太……会いたい、ｸﾞｽｯ」
『っ、A、もうちょっとだけ待っててくれる？』
「…え？」
彼女にそれだけ伝えた俺は、スマホと財布だけを持って駅へと走った。
今すぐAの所に行くには、最終21:24分発の新幹線に乗る方法しかなかった。
・
彼女も元々東京で働いていた。
同じ会社で働いてるAと出会ったのは、入社してすぐだからもう5年前。
唯一、同じ部署の同期だったAは泣き虫なくせにいつも我慢して笑顔でい続ける子だった。
俺たちが付き合うことになったのは、3年前。
仕事で結構でかめのミスをしたAがはじめて俺の前でだけで泣いた。
周りに人なんていないのに声を押し殺して泣く彼女をどうしても守りたくなった。
彼女が笑顔でいてくれたらそれでいいと思った。
弱みに付け込んだ訳じゃないけれど涙でボロボロの彼女に想いを伝えた。
『泣いてるとこは俺だけに見せてよ。泣いてたら俺が絶対に笑顔にするし、だから側にいてください。』
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作者名：かに | 作成日時：2020年7月22日 1時
