�� ページ2
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君――――彼女は、声を出す事が出来ない。
数年前に患った癌によって、声帯を失った。
一時期ショックで笑う事の出来なくなっていた彼女を支えたのは、僕、などではなく、彼女の幼馴染の男だ。当時、只のバイト仲間で特別仲が良い訳でもなかった僕は、二、三度、お見舞いに行く事しか出来なかった。本当はもっと行きたかったのだが、行くと彼女はいつも、ベッドの傍に座っている幼馴染の彼と、紙とペンを通して談笑していて。
その姿が、僕と話すときよりもずっと楽しそうでキラキラしていたから、何だか苦しくなって、だんだん足が遠のいた。
暫くして彼女は退院したが、それを知ったのは彼女からの手紙。お互いバイトも辞めてしまっていた為、会う機会はなかった。
それから二年程経ったある昼下がり、僕達はショッピングモールで偶然再会。どちらも特にする事もなく暇を持て余していた為、近くのカフェでお茶をする事になった。
普通なら、見掛けても「あれ、誰だっけ」くらいの関係だった筈なのに、お互いに覚えていいて、お茶までする事になったのは何故だろう。
それは多分、きっと、彼女が僕の初恋の人で、その時も未だ冷め切っていなかったからだろう。彼女も、「お見舞いに来てくれた元バイト仲間」くらいには覚えていたのかもしれない。
「久しぶり」
そう笑い掛けると、彼女は微笑んだ。その笑顔は昔通りにキラキラしていて、この子は変わってないんだな、と少し嬉しくなった。
それから、彼女のスマホのメモ帳を使って話していたが、暫くすると、会話が途切れた。僕は何か話題を振ろうとしたが、やめた。
彼女がとても、何かを言いたげな顔をしていたからだ。
少し嫌な予感がしたが、僕は気にせず彼女に問いかける。
「どうしたの？何でも言ってよ。僕に出来ることなら、力になるよ。」
彼女は暫く考えていたが、やがてコクりと頷き話し始める。
彼女の、恋の事を。
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空ノ寂(プロフ) - 洋子＠honeyworksさん» ありがとうございます！そう言っていただけて、光栄です！ (2017年12月31日 21時) (
レス) id: 6114dac4c8 (このIDを非表示/違反報告)
洋子＠honeyworks - アドバイスのところから来ました！とても綺麗で、繊細な文章、ストーリーだと思いました。感動しました。 (2017年12月31日 21時) (レス) id: 18955702f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：空ノ寂 | 作成日時：2017年12月24日 23時
