１４０話 ページ3
乱雑に体が放り出され、瞳に映る景色が自室のベットの天蓋である事を理解した。柔らかすぎるベットは衝撃を吸収するどころか、その衝撃故に体が埋まる位だ。正直このベット体に合わないなと思っていたが、こんな時に役立つとは思わなんだ。いいもん使ってるだけある。
そんな雰囲気をぶち壊すような想像を出来るくらいには、ユイから離れた効果が出たのだろう。とはいっても、シュウに押さえつけているこの状況で、自分自身がコントロール出来ていないのだから、それも僅かなことだった。
組み敷くこの腕がなかったら、きっと暴走して止まれない。男の力だとしても、解こうと思えば解けるし、シュウもそれは理解している。だがそれをしないのが、残り少ない自制心からの行動だった。
シュウは、自ら自身の大きく開かれた紺色のシャツを引きちぎる勢いで引っ張り、肩から鎖骨にかけてさらに露出させた。無駄に肉のついていないそれは大理石の彫刻を思い出させた。
片方の手の拘束が解かれたと思えば、頭の後ろに手が回され、勢いよくその首筋に引き寄せられる。あまりの勢いにもう数ミリもすれば前歯が当たって悲惨な状況になっていただろう。
目の前に映る白い肌。その皮膚の下を流れる、熱を持つことの無い赤いもの。ユイのそれと違い、香りなど一切ない。
「……なんの真似」
「飲め。何もしないよりマシだろ」
さらグイッと押し付けられ、とうとう牙が肌越しにその血の流れを感じた。とくん、とくん、と僅かに聴こえる音と共に、血も同じ様に流れていく。
ぶわり、と全身が奮い立ち、僅かに訪れた冷静さも何処かに消えた。ユイを前にした時程ではないにしろ、先程の感覚が蘇る。腹が減っている訳でもないのに、それが飲みたくて堪らない。喉が乾いて、堪らないのだ。
皮を剥がされ、化け物の姿が顕になる。
残る力を振り絞り、シュウの胸板を突き飛ばす。ヴァンパイアとは言え、普通の女ならば同族の男に力で叶うはずがない。私は魔力を暴走させれば離れられるが、それでは危険すぎる。だが力を入れるバランスや、体勢を利用すれば、男であっても吹き飛ばすことが出来る。
不意をつかれたのも相まって、その腕の中からどうにか離れられはした。
獣の様に呼吸をする事も、弟を睨みつける事も、全てが全て鬱陶しく感じた。
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さらら(プロフ) - 。 (2020年3月14日 23時) (
レス) id: 38606b6bbe (このIDを非表示/違反報告)
さらら(プロフ) - ユッパさん» コメントありがとうございます。そう言って頂けるととても嬉しいです。ここから創作部分が多くなってきますが、もし宜しければこれからも宜しくお願い致します (2019年7月26日 22時) (レス) id: 38606b6bbe (このIDを非表示/違反報告)
ユッパ - 感動しました。 とでも、すごいです！ (2019年7月24日 16時) (レス) id: 707a9255af (このIDを非表示/違反報告)
さらら(プロフ) - かなとさん» 申し訳ございませんすっかり忘れておりましたので修正しました。ご報告ありがとうございます。 (2019年3月26日 20時) (レス) id: 38606b6bbe (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい (2019年3月26日 15時) (レス) id: 9afeebc6dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さらら | 作成日時：2019年3月26日 15時
