ギュッとして！５ (ページ7)

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２０１９年１月１日

『本日は、山中デパートにお越しいただき、誠にありがとうございます』

お正月セールというものもこの世に存在する。

『まもなく６階のイベントホールにて、タイムセールが実施されます』

私たちからしたら魔のアナウンスに、目を輝かせているお母さんと千尋。

それに、今年から犠牲者が増えた。
祐太君である。

こうして荷物持ちが一人増えたことにより、２人の買い物にこれまで以上に拍車がかかっている。

朝からこんな状態なもんだから、早くも疲労困憊状態の私たち。

「…わっ！向こうもう始まってるよ！」

言いながら、もう走り出している千尋。

「行ってくる！お父さんたちはここで待ってて、」

そして、もう６０近い母親がダッシュでその後を追う。

「お義父さんとお姉さんは毎年こんな思いをしてるんですか…？」

「そうだよ…というか今までで一番すごいかも。お父さん、運転する体力残ってる？」

「大丈夫」

声からして大丈夫じゃなさそうだけど。

「僕が運転しますんでお義父さんはお休みに…」

「大丈夫。大丈夫」

もう言葉が大丈夫以外出てこなくなってる…

現在午後２時８分。
まだお昼ご飯も食べてないので、頭が回ってないんだろう。
よし、何か食べにいこう。

「お父さん、もう喫茶店でも入ろ。今ならバレないから」

「そうするか」

「お義母さんたちはいいんですか？」

「もうあの二人はいいよ。知らない。それに、祐太君も疲れたでしょ」

「疲れました…」

「じゃあ、決まり。早く早く、」

と二人の背中を押して喫茶店がないかと探していると、

「お姉ちゃーん！どこ行くの？」

早々に見つかった。

結局昼ごはんにありついたのは午後３時過ぎ。

やっと一息つけたのも束の間、食べ終わったと思ったらすぐさま買い物に戻った。

ヨレヨレのお父さんが運転する車が家にたどり着いた頃には、もうとっくに日は落ちていて、あたりは真っ暗だった。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

元日から一日中でっぱなしでどこにも出かける気になれず、残りのお正月は和牛さんが出てる番組を梯子し、ダラダラと過ごしていた。

こうして何もしていないのに時間はあっという間に過ぎてゆき、私のお正月休みは終わった。