ギュッとして！５ (ページ3)

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「ただいま」

「おかえり。思ったより早かったね」

特に変わったことも言わずに『ただいま』だけ言うと、家の奥から今は専業主婦の母が出迎えてくれた。

午後の２時過ぎなので、まだ父と妹は仕事中。

「はい、これお土産」

「わー、ありがとう。美味しいのよ。ここのフィナンシェ」

以前、前の会社の同僚に紹介してもらった大阪にある洋菓子店のフィナンシェをお土産で持っていったところ、お母さんがものすごく気に入った。
それ以降、実家に帰る時は必ず買って帰っている。

他にも、川西さんに教えて貰って買ったお酒を机上に置いた。

「日本酒も持ってきてくれたの。さっそく今夜飲んじゃう？」

「そうする」

「布団とかは出しといたから。必要なものが他にあったら、あとは勝手に探しといて」

「はーい」

大学入学を機に大阪に出て、滅多に使わなくなった自身の部屋に荷物を置いて、布団の上に寝っ転がった。
布団だけでなく、部屋全体も綺麗に掃除されている。

実家はやっぱりいいなぁ。まず第一に落ち着く。

外で干したときのお日様の匂いが残るふかふかの布団に身を沈めていると、今度は眠くなってきた。
重くなっていく瞼に抵抗するとことなく、私はあっという間に眠りに落ちた。

相当眠りが深かったのか、起きた頃には日が落ちていた。