▼もっとちゃんと優しくしてくれよ ページ20
「最前列ど真ん中で見たいね」
「誰よりもでけぇ声で応援しよ」
「Aの名前たくさん呼ぶわね！」
「パパも仕事頑張って休み取って、Aを見に行くよ」
だって。嬉しいこと言ってくれるなぁ、私の家族は。
もしコンサートにパパが来てくれたとして…………5人全員顔を合わせるなんて、それこそ…私が韓国に来た日……の2、3日前とかが最後だ。
なんせ当日はママも兄ズも見送ってくれませんでしたからね！！！
私はどうせオーディションなんぞ不合格だって決めつけてね！！！
で、合格判明した時のみんなの反応と来たら…。
ははは、あれももう5年くらい前か。
「聞いた？ヒョン。甘えちゃうから気遣ってるんですって」
「聞いたわよウォヌ。やーね、最近の子は引っ込み思案で」
「特にAとかなんとか言うバカでアンポンタンでスットコドッコイな子は、本当に引っ込み思案なのよね〜」
『顔のパーツの位置変えてアート作品にするぞ』
引っ込み思案なんて私に使う言葉か？
やめろやめろ、そのクネクネする感じ。
私より女らしくするのやめろ。
「ここにも家族いるのにね」
「ほんとほんと」
『…んあ？』
ウォヌが「Aヌナ」と私を呼んで、自分とシュアの間を叩く。
………座れと？
『なんや』
素直に腰を下ろすと、ウォヌが私の頭を撫でた。
『いやなんだなんだウォヌ。何がしたい』
「甘やかしてあげるよ」
『い、要らんわ！！間に合ってる！』
「そうだよね、俺が毎日Aの事かわいがってるもんね？」
色んな方向から伸びてくるウォヌの手を頑張って全部払い除けていたら、反対に座っていたシュアがそんな冗談を言って肩を組んできた。
『一応聞くけど、どの辺が可愛がってるんですかね』
「毎日会ってあげてるでしょ？」
『それでよく可愛がってるなんて言えたな』
同じグループのメンバーだぞ、顔合わせない方が難しいだろうが。
『はぁ……』
「よーしよし、やっと大人しくなりましたね」
『野良猫でも相手にしてるつもりか？』
「いや、野生の人間」
『猿って言いたいの？』
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作者名：歓楽街
| 作成日時：2023年2月18日 13時
