#57 見えない ページ22
野次馬たちが起こす喧騒の中、私たちが生んだ業火を掻い潜って先に進む。
身を焦がすような熱に、目も眩むほどの光。その全てが彼と出会ったあの日のリバイバルのようで、なんだか不思議な気分になる。
去り際に、能力を駆使して少しだけ火力を下げた。今回の目的は人質の確保であり、市街地の襲撃では無い。
ノエルを誘き寄せるという目的も、最初の大爆発で達成できているだろうし、これ以上被害を拡大させる必要はないだろう。
ふと、フーゴが口を開く。ガスマスクをつけた状態での会話ももう慣れたもので、多少声が籠っていても正確に言っていることを聞き取れるようになった。
「お前、ジリアン・リットナーと知り合いなんだろ」
彼の的を射た言葉に、私は息を飲む。
「ただの友達か、それとも他の何かがあるのか……。詳しいところはわかんねぇけどな」
『……何で知ってるの?』
ノエル・チェルクェッティを殺害するという目的で動いている以上、ジリアンを人質にとるのであろうということは、実は随分前から予測できていた。
でも、従姉さんの件も解決できてない今、市長からの依頼にフーゴ以外への私情を持ち込むことはできない。そう思って、あえて何も言わなかったし、態度にも出さないようにしていたのだが。
『なに、市長にでも聞いたの?……ほんと、あいつも趣味が悪い……』
ちげえよ、とフーゴが私の言葉を遮った。そして彼は立ち止まり、私に背を向けたまま、言う。
「そのくらい、声色でわかるっつーの。……どうせ逆もまた然り、だろ?」
再び歩き出したフーゴ。
ああ、きっと今ガスマスクの下で、フーゴはあの笑みを浮かべている。
自分の正しさを確信し、私に期待の眼差しを向けるような、あの不敵の笑みを。
『そう、かもね。忘れてた』
結局、私たちはきっと互いのことが好きなだけなのだ。
信頼し合っている、なんて言葉じゃ片付かない位には。
『ジリアンは私の幼馴染なの。初恋の相手でもあるけれど』
「……お前、まさかそっちの趣味が」
『ないわよ! 彼女、昔はもっとボーイッシュな子だったの! だから男の子だと勘違いしてて……』
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あゆ - 授業中なのに、あそこまで描けるっていう...ヤバ...(語彙カ) (2019年1月7日 8時) (レス) id: 072ca93e4c (このIDを非表示/違反報告)
cc(プロフ) - 夜桜美月さん» コメントありがとうございます!やっぱり描いちゃいますよねぇ…笑 でも今は一番前の席になっちゃって、先生の目の前なので描けなくなりました(´ー`) 無念です。 (2018年3月2日 19時) (レス) id: 3524d9e2e8 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜美月(プロフ) - いつも楽しく見てます!落書きのレベル高!その画力を恵んでくだせぇ。授業中絵描いちゃいますよね。机とか、そして見つかる\(^o^)/ (2018年3月2日 19時) (レス) id: 20b5aa4547 (このIDを非表示/違反報告)
メイ - ccさん» いえいえ!質問に答えてくださってありがとうございました!これからも頑張って下さい! (2018年2月24日 12時) (レス) id: b6d44dcbc7 (このIDを非表示/違反報告)
cc(プロフ) - メイさん» 応援と質問ありがとうございました!これからも頑張ります(*^o^*) (2018年2月24日 7時) (レス) id: 3524d9e2e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:cc | 作成日時:2018年1月14日 18時