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A「いや、来ないけど。」
涼真「じゃあいいじゃん!」
A「良くない!ってか、何がどうなってこんな事になってる訳?」
座るなと言われた涼真くんは、しょうがなく立ったまま。
涼真「えっと、俺が先に店にいて、あそこの席にいたの。」
指差す席を見ると、斜め前の席だった。
食べかけのパスタが…
A「あっ、そうなんだ。食べかけじゃん。食べなよ。」
美味しいうちに食べればいいのに。
その時、私のパスタが運ばれて来た。
涼真「うん食べるけど。で、後からAさんが入って来たから、電話掛けたのに、俺の横通り過ぎて慌ててお店飛び出して行ったから面白くて。アハハハッ!」
まだ話すのかな…。
A「ねぇ、食べてもいい?」
涼真「あっ、どうぞ?それで、それから俺、電話口で笑ってたら、何でかオレオレ詐欺氏になっててAさん電話切るんだもん!だから、俺も店出て肩をポンポンってしたら、またオレオレ詐欺氏に思われて。オレオレ詐欺氏って電話だけなんじゃないの?もー、本当Aさんウケるし、あり得ないんだけど。あー、でもあの不審者を見るような目で見られた時は焦ったー。普通声で気付くでしょ?」
A「…涼真君?お店の中で電話はダメなんだよ?周りのお客さんに迷惑でしょ?」
何て常識がないんだ!全く!
このパスタ美味しい!
今度真似して家で作ろっと!
涼真「…えっ?そこ?ごめん…。」
A「それに、声で気付くなんて高度な技、私には持ち合わせてないから。ねぇ、いい加減食べなよ?」
すると、隣に座っていたカップルが吹き出して笑い出した。
彼女の方は、もう我慢できない、面白すぎるって言っている。
それにつられて、周りにいた人達も笑い出してる。
近くにいた人達は、私達の会話に聞き耳を立てていたらしい。
だよね?座るなと言われ、立ったまま話し続けている黒づくめの男と、ろくに話も聞かずパスタを食べる女じゃ気になるよね。
隣の彼女は、涙を流しながらまだ笑ってる。
A「お食事中にうるさくして、ごめんなさいね?」
折角のデートだったろうに、隣で騒いでごめんね。
彼女「いえいえ。面白い場面に遭遇出来てラッキーでした。会話の内容が…。笑。あの…Aさんですよね?」
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作者名:ひろみ | 作成日時:2018年10月8日 0時