凛side 運命の人 ページ4
Aは、俺にとって運命の人。
そう思う。
恋愛に対して、
あっさりしていたはずの俺が、
今では信じられないぐらい、
どんな時だってAの事を想っているんだから。
海星がそんな俺をからかってくるぐらい。
そんなくらい、
こんな気持ちが俺の中にあるって初めて知ったんだ。
これが好きって事なんだ、
愛するって事なんだなって。
そう思う気持ちは日ごと増していく。
付き合ってまだ日は浅いけれど、
結婚したいと本気で思っている。
でも、
Aには忘れられない人がいる…
きっと今だに…
俺はいつかその人を超えること出来るのかな？
そんな恐ろしい事さえ思ってしまう。
ふとした瞬間に、
Aは目を伏せ、
何かを思い出したような顔をする時がある。
2人でテレビを見ている時にも、
何気なくAの髪を耳に掛けた時とか、
東京での話とかを聞いたりした時にも、
花火大会の時もそうだった…
他にも気になる事はあって、
俺がお風呂に入って出た時とか、
Aが1人になるときに、
何かの歌を口ずさんでいるのを聞いたり、
見た事がある。
機嫌がいいのかなって、
初めはそう思ってたんだけど、
何回かそんな場面に遭遇して、
楽しいとか嬉しいとかいう感情ではないなって、
分かったんだ。
悲しそうに歌うAだったから。
歌詞は所々聴こえるけど、
何の歌なのか分からなくて、
ある日、
凛「その歌よく歌ってるね。何て言う曲？」
Aが好きな歌なら、
俺も知りたいし、
そう聞いたら、
A「あっ、早かったね。んー？私も分かんない。笑」
絶対に嘘だ。
何で教えてくれないの？
悲しそうにいつも歌うその歌で、
元彼を思い出してるの？
何でなの？
そう思っても、
俺は言えずに、
凛「そっか。笑」
踏み込んじゃいけない気がして、
ううん、
元彼との思い出の歌なのかもとか思ったら、
怖くて聞けなかっただけ。
確かに俺達は思い合っていて、
付き合っているけど、
Aは、
その心の全部を、
俺に預けてはくれない。
それでもいいんだ。
いつか俺だけを見てくれる日が来ればいいって、
それでもいいって、
俺が思ってるから。
俺が愛してるから…
そんな事を飲み会の間に考え込んでしまっていた俺。
新一「何しんみりしてんだよ。笑」
同僚の新一が絡んできた。
凛「してないよ。笑」
新一「何？彼女と喧嘩でもした？」
凛「違うし。今日もこの飲み会無かったら、会いに行けたのにって思ってただけ。」
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作者名：ひろみ
| 作成日時：2021年8月7日 1時
