また私は… ページ16
紫耀「嘘だよ。だって、昨日のキス…」
紫耀の話しの途中、
エレベーターのドアが閉まってしまった。
A「昨日のキスで…何か勘違いさせたなら、ごめんなさい。流されてしまった自分が嫌で堪らなくて、凛に申し訳なくて、凛には、昨日の事全部話したの。振られるって思ったけど、彼は許してくれた。優しい人なの。そんな凛と私は幸せになりたい…。だから、紫耀を選ぶ事はないわ…。だからもう会いに来たりしないで。会うのはこれが最後。…まだ、今なら終電に間に合うから、帰るね…。」
エレベーターのボタンを押したくても、
前に立ち塞がって退けてくれない。
紫耀「帰さない…行くなよ…凛って…名前なんか、Aの口から聞きたくないよ…。なんだよ…。幸せになりたいって…。俺が、俺が幸せにするから。これが最後とか言わないでよ。Aの事、こんなに！こんなに、好きなのに、俺、無理だから…。別れてたから、ずっとずっと会いたかったんだよ？別れた事、死ぬ程後悔してた。でもどこにいるのか分かんなくて、もう会えないって、そう思ってたAが目の前に現れてさ、そんな簡単に諦められるわけないじゃん…。だから、…すごく悲しいけど、めちゃくちゃ嫌だけど、彼氏がいても、俺は、会いたい。会えないよりはマシだから…。またAに会えないって思いながら生きていく方が無理…。何より、もう後悔したくないんだよ…。」
涙目で最後は声を震わせてそう言われる。
俯いた紫耀から、
涙が落ちるのが見えた…
A「やめて…そんな事言わないでよ…」
そう言う私も、
涙を堪える事が出来ずに、
涙が流れ落ちてしまっていた。
あの紫耀が、
私に彼がいても、
それでも会いたいなんて、
そんな事を言うなんて…
きっと心が千切れそうなくらい、
傷んでいるはず。
どうしてそんなに私が好きなの？
私も、
どうして強く突き放せないんだろう…
凛の事は確かに好きなのに、
凛への好きという気持ちは、
紫耀以上の好きではないって、
どうして、
そんな事を気付かせるの？
だからもう会いたくない。
会ってはダメなのよ…
会えば、
流されてしまう自分が怖いの。
凛を裏切ってまで、
紫耀を選ぶなんて出来ない。
またあんなに激しい恋愛は無理…
未来を夢見れない紫耀との恋愛は、
ツライだけだし…
だから、
もう会わない。
帰ろう。
そう思っていたのに、
気がつけば、
紫耀の腕の中にいた…
また私は、
凛を裏切ってしまった…
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作者名：ひろみ
| 作成日時：2021年8月7日 1時
