嫌い… ページ13
紫耀「そんなの、会いたいからだよ？Aも俺に会いたかったでしょ？」
平然とそう言い切ってしまう紫耀。
そんなところ変わらないな…
A「そんな訳ないでしょ？こんな所をまた彼氏に見られたくないの。お願いだから、もう帰って。もう来ないで。というか、自分の立場考えて行動してって昨日も言ったでしょ？だから、もう来ないで。昨日、言ったよね？さよならって。」
そう強く言った私に、
悲しそうな顔を向け、
紫耀「見られたくないなら、部屋入れてよ。」
A「無理よ。彼氏いるのに、入れる訳ないでしょ？」
紫耀「じゃあ俺の部屋に行こう？」
A「聞いてる？無理だってば。行かない。行く訳ないでしょ？何度も私には彼氏いるって言ってるでしょ？もうこれ以上、彼を裏切れないの。」
無理矢理右手を振り解き、
歩き出そうとしたら、
紫耀「じゃあ俺の事嫌いって言って！」
解いた手をまた掴まれ、
そう言われた。
ふと香った香水の匂い。
紫耀を感じるこの匂い。
この匂いに包まれていた、
あの頃を思い出してしまう…
昨日のキスを思い出してしまう…
でも、言わなきゃ。
凛の為に。
自分のために。
A「…嫌いよ…紫耀なんか…」
強い目で私を見る紫耀。
その絡み合った視線を解けずに、
涙目でそう言ってしまった…
紫耀「嘘つき…。あー、もう、ムリ！」
そう言うと、
また車に乗せられ、
東京へ。
昨日と同じだ…
襲う罪悪感と、
拒む事が出来ない自分の弱さに、
涙が溢れる…
紫耀のマンションの駐車場に着くと、
昨日とは違った。
車から降りると、
手を引かれ一緒に歩く。
そして、
エレベーターの中で、
紫耀「…泣くなよ。」
そう言って、
正面に立つと、
親指で涙を拭いてくれた。
そして、
部屋に入ると、
玄関ドアが閉まり切る前に、
抱き締められた。
力強く…
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作者名：ひろみ
| 作成日時：2021年8月7日 1時
