Contract love ～偽装恋愛～ 22 (ページ10)

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紫耀side ベランダページ10

もしもあの日、
別れを選ばずにいたら、
今も笑い合ってたのかな…

1人ベランダで夜空を見上げて、
溜息を吐いた。

Aが選んだ椅子は引っ越しても持ってきた。
これだけは手放せなかった。
その椅子に座り、
今日もAの事を想う夜が始まった。
今日は、
さっきまでこの部屋にAがいたなんて、
信じられないくらい、
寂しくて、
静かな部屋にいたくなかったからなんだけど。

今頃Aは、
もしかして仲直りして、
あの凛とかいう彼氏に
抱かれてるのかな…

苦しいよ…
死にそうなくらい、
息が出来ないくらい、
辛過ぎる。
何でこんなに好きなんだろう…
何で俺のものじゃないんだろう…

紫耀「ウッ…、ウッ…、A…」

声を殺して1人泣き続けた。

あの頃、
Aがいるだけで、
毎日が輝いてた。
でも今は俺のものじゃない。
その現実を今日目の当たりにして、
今夜は更に心が苦しくて、
悲し過ぎて、
眠れそうにない。

誰かが言っていた。
幸せはいつも、
掴みかけた途端、
手の平からこぼれて消えてしまうって…
結局、
幸せっていうものは、
目に見えず、
形もないものだから、
掴めないって…

本当にそうだ。
あんなに大事で愛していたのに、
自ら手放してしまって、
あっという間に居なくなってしまっていた。

もう一度出会って、
愛し合って、
あの頃に時を巻き戻せたらいいのにって、
そんな事を願っても、
そんな願いも、
今はただ虚しいだけ。

こんな未来が待ってるなんて、
あの頃考えもしなかった。
まさかいなくなるなんて、
偶然また再会する日が来るなんて、
また恋焦がれる日々が始まるなんて…

眠れるわけなく仕事へ向かう。

Aの連絡先聞き忘れっちゃたな…
大丈夫だったかだけでも知りたい。

紫耀「ジン、Aの連絡先教えて？」

ジン「聞かなかったの？」

紫耀「…うん。あのさ、凛さんに会ったんだよね…。彼氏の…。話聞かれたし、多分、俺が元彼だってバレた。」

ジン「凛さん？誰それ。彼氏？えっ、それってAさん大丈夫な訳？」

紫耀「分かんない。だから、心配で…。連絡先教えてくれない？」

ジン「Aさん大丈夫かな。うーん…分かった。」

こうしてAの連絡先を手に入れた。