Contract love ～偽装恋愛～ 22 (ページ7)

今日:1 hit、昨日:10 hit、合計:124,407 hit

紫耀side 嘘だよね？ページ7

ジンに教えてもらった会社名から住所を調べ、
会社前で待つ。
変装は完璧なはず。
そろそろ出てくる時間かな。
車から降りて、
人の流れの中、
必死でAを探す。
見逃したりしたくなかったから。

その時、Aが会社から出て来た。
数ヶ月ぶりのAだった。
その姿に、
あー、大好きだ…
つい声に出してしまいそうになった。

段々と近づいてくるAは、
当然俺には気付かない。

胸の高鳴りが凄くて、
下を向き、
深呼吸をして待つ。

近付いて来たAの名前を呼んだ。
恥ずかしいけど、
多分その声は震えてたんじゃないかな。
泣きそうな顔をしたAの腕を咄嗟に掴むと、
その指には、
指輪がはめられていた…

嘘だよね？
結婚って…
嫌だよA。
…ねぇ、もう遅いの？

婚約破棄になっても、
俺が責任持つから。
だから、
俺を選んでよ。
そんな俺の想いとは正反対なAは、
明らかに迷惑そうな顔をする。

結婚するって言うAにも、
敬語で話すAにも、
迷惑そうな態度にも、
なんだか無性に腹が立ち、
それよりも物凄くショックで、
でも、
ここで引き下がれるわけないから、
芸能人だって事を利用して、
無理矢理車に乗ってもらった。

でも、Aは窓の外ばかり見て、
相変わらず、
俺への気持ちなんて全くないって態度。

彼氏がいるって聞いてたから、
こうなる事も、
少なからず分かっていたけど、
実際に目の当たりにすると、
結構ショックだった。

彼氏に申し訳ないと思ってるの？…
そんなに彼氏への想いが大きいの？…
そんなに？…

ねぇ泣かないでよ…

奪うつもりで会いに来たけど、
奪うって事は、
Aも傷付けるって事なのか…

そこまで考えてなかった。

でも、
泣かせても、
傷付ける事になっても、
Aが欲しいんだ。
ごめんなさいA。
もう引き返せないんだ…
もうAがいない生活は出来ないんだ…
俺の未来にはAがいて欲しいんだ。