騙せない ページ30
部屋を出て、
お水を貰いに行こうとした足を止め、
廊下の壁にもたれて深く息を吐いた。
紫耀と目が合った瞬間、
逃げるようにして部屋を出てきてしまった。
A「ふぅー」
何やってるのかな…
本当自分が嫌になる。
下を向いて、
目を閉じて息を吐き、
そっと顔を上げると、
A「きゃっ」
永瀬君が、
目の前に立っていた。
永瀬「ハハ。驚いたやろ?でもどないしたん?主役さんがこんなとこで溜息ついて。」
A「チョット飲み過ぎちゃったみたいで。」
そんな咄嗟の誤魔化しも、
この人は騙せない。
永瀬「そんなん嘘やろ。まぁどうせ紫耀の事やろ?ってか、紫耀も、めっちゃ落ち込んどるよ。何?どないしたんって聞いたら、何でもないって、強がって言うくせに、ため息ばっかで、こっちがしんどいわ!またどうせいつもの喧嘩やろ?って聞いたら、喧嘩の方がまだいいって、よー分からん事言ってたで?俺にはよー分からんわ。ってかさ、今は、別れてるらしいやん。ホンマに自分ら何なん?マジで。飽きもせず、何度も何度も。中学生か。笑」
A「うん…本当何やってるだろうな…」
永瀬「どうせヨリ戻すんやから、意地張らんと戻ったらええやん。」
A「それは…」
永瀬「じゃあ、もう綺麗さっぱり別れて、二度と会わんって事になってもええの?」
珍しく熱く話をしてくれる。
みんな紫耀の事が好きなんだよね。
大事なんだよね。
それなのに、
私が紫耀を困らせてる。
分かってるの。
もう離れなくちゃいけないって事。
ちゃんとしなきゃいけないって事。
今日まではって…
この仕事を辞めるまではって…
それまでは会ってくれるなら、
最後の思い出をって…
そう思ってたの。
最後のワガママだったの。
だから、みんな心配しないで。
ちゃんと紫耀を開放するから…
そんな思いを悟られないように、
ちゃんとその日が来るまでは、
知られないようにしなきゃ。
A「ねー、なんで、みんなそんなに私達の事に関心を持ってくれるの?」
永瀬「んー、何やろ…。まぁ、他のみんなは分からんけど、俺は、2人の事、実は羨ましいんやね、きっと。あっ、これは2人の秘密な。紫耀が知ったら、調子乗るから。まー、だから?なんて言うんか、Aちゃんと紫耀が上手くいってくれれば、俺にもそんな風な人が現れるかもなーとか、密かに願ったりはしてたんよ。」
胸が痛んだ…
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作者名:ひろみ | 作成日時:2021年4月22日 17時