隙 ページ11
紫耀は、
どんな事があっても、
どんな時だって、
私を諦めないでいてくれるんだね。
それでも…
A「…でも」
でも、
怖い。
難しいよ。
その思いは消えない。
けれど、
そう言う隙はもう与えてもらえなかった。
紫耀「でもじゃないの。分かったって言って？…お願いだから…。それ以外は聞かない。」
A「…はぁ、分かった。」
紫耀「何、その渋々言ってる感じ。でも、もう分かったって言ったんだから、逃げられないよ？分かった？分かってる？別れ話は終わりだからね？」
A「…うん…」
紫耀「何かスッキリしない返事だなー」
A「だって、なんだか、言いくるめられた感が半端ないなって…」
紫耀「じゃあ、質問！俺の事好き？」
A「…うん、好きだけど、でも…」
紫耀「ストップ！好き以外聞かない！それが全てです！両想いだから、俺たちは別れません！以上！」
A「ねぇ、教えて？私が何をしたら、嫌いになるの？」
紫耀「何？今度の手は、俺に嫌われようとしてるの？そっちで攻めようって？その手には引っかからないからね！嫌いになる方法？絶対に教えない。」
A「浮気したら？」
紫耀「う、浮気？それは、…悲しいな。泣くよ俺。」
A「流石に嫌いになるでしょ？」
紫耀「…いや、今ちょっと想像したけど、やっぱり嫌いにはなれないな。」
A「なんでよ。流石に浮気したら嫌ってよ。」
紫耀「嫌だよ！ってか、やめようよ、こんな話。」
A「そうだね。もう遅いし、帰るね。」
立ち上がろうとすると、
繋がれたままだった手を引かれ、
また座らせられた。
紫耀「泊まっていけばいいじゃん。」
A「ううん、帰る。」
紫耀「どうしても帰るの？」
A「うん。」
紫耀「何でそんな帰りたいの？」
A「それは…」
強引にまた付き合う事になってしまった。
けれど、
だからと言って私の気持ちはそうすぐに変わらない。
だからなんとなく、
体を合わせる事にまだ抵抗があるの。
紫耀「苦しいよ…。こんなに好きなのに…」
ポツリとそう言うと、
下を向く私の唇を掬い上げるように、
キスされた。
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作者名：ひろみ
| 作成日時：2021年4月22日 17時
