誤魔化せる ページ38
社長「うーん…分かった。でも、僕からのお願い聞いてくれない?」
A「はい。分かりました。」
社長「ありがとう。今すぐにマネージャーを辞められるのは困るんだ。だからせめて9月まで。舞台とコンサートが終わるまではお願いしたい。それと、契約恋愛の解消だけど、これはもう君達が恋人同士になった時点で契約は終了した事になる。だから、違約金なんて発生しないよ。しかも、平野君のせいでって訳になるんだし、こちら側に非があるからね。」
A「…9月まで…。分かりました。それまで精一杯頑張ります。本当にありがとうございます。そして、すみません…」
社長「ううん。いいんだよ。」
電話を切って、
深く深呼吸をした。
違約金は払うつもりでいた。
契約違反だから。
また借金を返す為に
必死に働くつもりでいた。
いいの。
元に戻るだけ。
そう覚悟していたけれど、
でも、
正直ホッとした。
こんな状況で自分の心の醜さを自覚するなんてな…
更に落ちていくこんな自分が本当に嫌だ…
さっきの社長さんの言葉を思い出す。
紫耀は、
別れるつもりないって言ったんだね…
私が許すと思ってるんだ…
でもごめんなさい…
正直、離れる事の方が始めは辛いかもしれない。
それでも、
元通りにやっていく自信はないし、
何よりも一緒にいる事がツライ。
許せず、
嫌いになっていくだけ。
そんな風になりたくないの…
ハンドルに乗せた両手におでこを付けて、
色んな事を考えていると、
ガチャ。
神宮寺「ふぅー。ただいま。」
後部座席のドアが開き、
神宮寺君が戻って来た。
早くない?
慌ててバレないように涙を拭く。
A「お、おかえり。早くない?」
必死に平然を装う。
神宮寺「…うん。だって、Aさんの様子が気になったから…」
A「私?何もないわよ?どうしたの?」
神宮寺「じゃあ、俺見てよ。」
振り向くとバレちゃう。
きっと目は赤くなってるだろうし腫れてる。
A「いやよ。笑」
神宮寺「…何かあったんでしょ?そんな泣くって事はさ。」
A「泣いてないわよ。目の調子が悪いだけ。」
そう言って、
振り向いて見せた。
地下駐車場だから、
少し薄暗いし、
誤魔化せる。
そう思った。
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作者名:ひろみ | 作成日時:2020年2月2日 10時