Contract love ～偽装恋愛～ 15 (ページ28)

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終わり… ページ28

それから、
しばらく黙ったまま。

私はそんな姿を見つめた。
膝の上で両手を組んで、
俯く彼を。
その姿を見て、
よくない話しが待っていると分かってしまった…

紫耀「…自分でもよく分かってるんだ。…こんなのよくないって。…逃げてるなんてダメだって…。理解してあげなきゃいけないって…。最初はちゃんと話し聞こうって…」

話し始めた紫耀の言葉を待つ。

紫耀「でも俺は、…どうしても…。でも…、はぁ…。ごめん…俺は…。ごめん、ごめん…。」

何を言いたいのか、
正直言って分からない。
けれど、
苦悩しているって事は、
そう言う事だよね…

両手で顔を覆い、
それから私を見た紫耀と目があった。

A「…紫耀」

でも、
私を見る紫耀の目は、
私を見ているようで、
私を見ていなかった…
それでこれから言われることが、
よくない事だと確信した…

そして、

紫耀「ごめん…。正直言って、…もうどうしたいのか…。苦しいんだ…。疲れたのかも…。こんな自分に…。好きなのに、…なのに、縛り付ける事しか出来ない自分に…追うだけの自分に…不安な自分に。…ごめんなさい。…俺、Aを…裏切りました…ごめんなさい。」

泣き出した紫耀が、
声を詰まらせながら、
言葉を1つずつ放つ。

そして、
立ち上がり、
頭を下げた…

裏切ったって…
…嘘でしょ？

A「……浮……気…？」

声が震えているのが自分でも分かった…
でも、確認するしかない。

紫耀「ごめんなさい…ごめんなさい…ごめん、本当にごめんなさい…」

ソファーから降りて、
土下座なんて、
そんな事しないで…
そう思っても、
言葉も出なければ、
体も動かない…
その間も、
ただただ謝り続ける紫耀。

許してとか、
言い訳もなく、
ただ、
ただ謝り続けるだけ…

A「…グスッ。グスッ…ウッ…何で…」

立っているのも限界で、
座り込むと、
止めどなく流れる涙。
手で顔を隠し、
嗚咽のように上がってくる声を必死に堪えた。

終わるんだ…
私達は、こんな風に呆気なく終わるんだね…