取り繕うように… ページ34
それから数日がたった朝。
いつものように１日が始まる。
あの夜の違和感には、
お互い触れないように、
取り繕うようにして過ごしている。
紫耀「今日の夜、ごめん遅くなると思う。先寝てて？」
A「分かった。撮影？大変だね。」
きっと撮影はもうほとんど終わっているはず。
紫耀「あー、ううん。松本君に誘われてて…」
A「そうなんだ。良かったね。」
紫耀「ありがとう。じゃあ、そろそろ行くね？」
当たり障りのない会話を交わすと、
玄関でキスをして、
いつものように見送る。
振り向いてもくれなくなった背中を、
ドアが閉まるまで見送る。
行きたくないって駄々をこねていた紫耀は、
もう遠い昔のよう。
今では、
儀式的のような感じで
いってらっしゃいのキスを交わし、
背中を見送る。
キスはしてるんだし、
大丈夫だよ。
そう思い込もうと必死な私。
けれど……
紫耀の気持ちが離れていってしまっている事に、
気付かないふりをしてるだけ。
考えないように、
凹まないように、
認めないように…
恋に落ちたあの夜から、
私達には、
さよならが潜んでいたのに、
今となって、
ギリギリの所で繋ぎとめているのかもしれない…
でも、
離れられないよ…
A「…はぁ」
ベランダへ出て、
朝焼けの空を見上げ、
溜め息を付いた。
この胸の中のモヤモヤを消したくて…
こんな気分でも、
仕事には行かないといけない。
準備を済ませて、
部屋を出る。
今日は、
舞台稽古の前に、
岸君と神宮寺君を迎えに行って、
ジムへ行くようになっている。
こんな気分の時に、
神宮寺君には会いたくないんだけどな…
A「…よし！大丈夫。」
車の中で1人で気合を入れた。
岸君のマンションから神宮寺君のマンションへ。
神宮寺「おはよー」
A「おはよう」
岸「おはよう！」
神宮寺「ごめんね、Aさん。俺の迎えまで。」
A「ううん。私もたまに斉藤マネに岸君の事お願いしてるし。気にしないで？」
神宮寺「ありがとう。」
岸「ジンって、やっぱりいいね！」
神宮寺「は？何、急に。笑」
岸「いや、プライベートでも、国民の彼氏じゃん？だから。」
神宮寺「やめてよ。そんなん言われると、恥ずいじゃん。」
岸「ガチで褒めてるんだけど。ガチだから！」
神宮寺「だから、それが恥ずいんだって。」
そんの2人のやり取りに救われるな。
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作者名：ひろみ
| 作成日時：2019年11月24日 0時
