タイプ ページ31
お風呂から上がり、
録画していた紫耀の出演した番組を見ていた。
その時、
ガチャッ。バタン。
玄関ドアの音がした。
急いで立ち上がり、
玄関の方へ。
リビングのドアを開けると、
目の前には紫耀が。
A「おかえりなさい。」
紫耀「ただいま。」
優しい顔でそう言って抱き締められた。
何だろう…
嬉しいのと恥ずかしいのとで、顔を上げれない。
でも、しっかりと抱き締められた胸から、
彼の体温が伝わってきて安心する。
紫耀「はぁAだ…。」
優しい声でそう言うと、
少しだけ体を離して、
頬にキスをされ、
優しい顔で覗き込まれる。
私は、
やっぱり恥ずかしくて、
また彼の胸に抱きつく。
その広い胸板に顔を埋めて、
しばらく黙っていた。
「大好き。愛してるよ。ここが私の居場所なの。」
口に出したら泣きそうで言えなかった。
でもきっと紫耀は、
分かっていたはず。
私の背中をさする手が、
優しかったから。
その温かい手から、
紫耀の想いも伝わったから。
聞こえてくる鼓動は
世界で一番安心する、
ここが私の居場所だと教えてくれるような、
そんな優しくて、
落ち着く心地よさだった。
そんな幸せに浸っていると、
紫耀「あっ…」
突然、そんな声を出した。
A「ん？」
紫耀を見上げると、
紫耀「いや…」
ん？
紫耀の視線の先には、
テレビ。
そのテレビの中では、
今私を抱き締めているこの腕で、
別の人を抱き締めていた。
それはそれは、とってもいい笑顔で。
紫耀「いや、違。これは…」
分かりやすく焦る紫耀。
別にいいんだけど、
バラエティだし。
でも、前々から気になっていた事。
A「…ねぇ？」
紫耀「は、はい。」
A「怒ってないから。そんなに緊張しないでよ。笑」
紫耀「本当に？」
A「うん。こんなので一々怒ってたら、付き合っていけないでしょ？でも、ひとつだけ聞きたいことがあるの。」
紫耀「良かったー。で？何？なんでも聞いて？」
A「私って、紫耀が好きなタイプと違うと思うんだけど。」
紫耀「えっ？そう？俺の好きなタイプ？あー、ぽっちゃりさん？」
A「うん。」
今テレビの中で見た抱き締めていた人も、
ぽっちゃりさんだったし、
雑誌でもそう答えているのをよく見る。
でも私は、
おそらくぽっちゃりさんでは、ない。
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作者名：ひろみ
| 作成日時：2019年11月24日 0時
