夢物語 ページ30
仕事が終わり、
岸君を乗せて車を走らせる。
岸「その…もう大丈夫？」
A「あっ、うん。朝からはごめんね？あんなに泣いちゃって、引いたでしょ？」
岸「いやいや。そんな事ないっすよ。紫耀への想いの大きさを知ったっていうか、まあそんな所っすよ。」
A「想いの大きさかー。そうかも。…あのね、実は昨日紫耀と喧嘩して、私、部屋を飛び出しちゃったの。」
岸「えっ？ガチで？」
A「うん。ガチ。笑」
岸「そうとは知らず…。俺余計な事言っちゃった感じ？」
A「ううん。むしろその逆だよ。ありがとう岸君。意地張って、1番大事な事を分かってなかったの。だから、気付かせてくれてありがとう。」
岸「そっか。だからか。なるほど。で、今日は、えっと…どうする感じ？」
A「フフ。大丈夫だよ？ちゃんと仲直りしたし、紫耀の部屋に帰ります。」
岸「あー、良かった。焦ったー。」
A「何で岸君が焦るのよ？笑」
岸「いや、だからあんなに朝から紫耀の機嫌が悪かったのかって思って。Aちゃんと仲直り出来てなかったら、また明日も紫耀が機嫌悪くなるから、どうにかしなきゃと思ってた。リーダーっすから俺。」
機嫌悪い紫耀ね…
目に浮かぶわ。
A「機嫌ね…なんだかごめんね？」
岸「いや、別にいいっすよ全然。ってか、やっぱりなんかイイ。」
A「何が？」
岸「奥さんみたいっすよAちゃん。旦那さんの代わりに、影で謝ってるって感じが。」
A「そんな事ないよ。やめてよ。」
そんな感じでからかわれながら、
岸君を送り届け、
紫耀の部屋に帰って来た。
この部屋に入った瞬間、
嬉しかった。
やっぱりこの部屋が落ち着く。
そのまま真っ直ぐに
ベランダへ。
この部屋からの眺めが好き。
見上げた夜空には、
三日月の下にひとつだけ星が輝いていた。
その星に願いを掛ける。
ずっと幸せな日々が続きますようにと…
さっき岸君にからかわれたからかな。
いつか紫耀と結婚する日が来るのかな…
そうだとしたら、
一生幸せな日々だろうな…
そんな甘い夢物語を想像して、
また願いを掛けた。
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作者名：ひろみ
| 作成日時：2019年11月24日 0時
